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チャバネアオカメムシ集合フェロモンには餌を求めて移動中のクサギカメムシ成虫が誘引される

[要約]

チャバネアオカメムシ集合フェロモントラップには、栄養蓄積と卵巣発育が劣り、餌を求めて移動中のクサギカメムシ成虫が誘引される。

[キーワード]

チャバネアオカメムシ集合フェロモン、クサギカメムシ、栄養状態、卵巣発育

[担当]

秋田農技セ果樹試・リンゴ部

[代表連絡先]

電話0182-25-4224

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

研究・参考

[背景・ねらい]

チャバネアオカメムシ集合フェロモン剤には、チャバネアオカメムシだけでなく、クサギカメムシも誘引される。現在、全国でこの集合フェロモン剤を誘引源としたトラップ(以下、集合フェロモントラップ)でクサギカメムシ成虫の誘引消長が調査され、調査データが発生予察に利用されている。しかし、他種の集合フェロモン剤に対する本種の誘引現象ゆえに、集合フェロモントラップにおける本種成虫の誘引消長が示す生態的意味は不明である。そこで、クサギカメムシ成虫の集合フェロモントラップと餌植物上で捕獲した個体の生理状態の比較から、この点の解明を試みる。

[成果の内容・特徴]

  1. チャバネアオカメムシ集合フェロモントラップに誘引されるクサギカメムシ成虫の栄養蓄積は、餌植物上で捕獲した成虫よりも有意に劣る(図1)。
  2. トラップに誘引される本種の越冬後雌成虫の卵巣発育は、餌植物上で捕獲した成虫よりも有意に劣り、秋季に捕獲された成虫はすべて生殖休眠状態である(図2)。
  3. トラップにおける成虫の誘引数は、秋田県で本種の餌探索が活発になる5月下旬〜6月上旬(繁殖を始める時期)、7月[主要な生息場所(雑木林)で餌が不足する時期]または9月(越冬前の栄養蓄積を始める時期)のいずれかの時期に増加する(図3)。
  4. チャバネアオカメムシ集合フェロモントラップにおけるクサギカメムシ成虫の誘引消長は餌の探索行動と強く関連している可能性が高い。

[成果の活用面・留意点]

  1. クサギカメムシの越冬後成虫(春〜夏)のリンゴ園への飛来は、雑木林で餌が不足する時期に増加することから、越冬世代では雑木林に設置した集合フェロモントラップでリンゴ園への飛来開始時期をモニタリングできる可能性が高い。
  2. 本種の秋の新成虫(秋)は、リンゴ園への飛来が少ないことから、雑木林における集合フェロモントラップでの成虫の捕獲消長は、雑木林内における餌の探索行動を反映していると推測される。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
近年多発生しているリンゴ害虫2種に対する効率的防除体系の確立
予算区分
県単
研究期間
2005〜2008年度
研究担当者
舟山 健
発表論文等
舟山 健(2008)応動昆、52:69-75.