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オウトウの品種識別マニュアル(改訂版)

[要約]

オウトウでDNAによる品種識別の際に基準品種となる「佐藤錦」と「紅秀峰」の10SSRマーカーの塩基配列を決定し、これに基づいて作成した遺伝子型データベースとオウトウ品種識別マニュアル改訂版により、約80品種のオウトウを正確に識別できる。

[キーワード]

オウトウ、品種識別、SSRマーカー

[担当]

山形県農総研セ・農生技試・バイオ育種科

[代表連絡先]

電話0237-84-4125

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

研究・普及

[背景・ねらい]

山形県育成のオウトウ「紅秀峰」が平成17年に不法に海外へ持ち出された事件を受けて、これまでにDNA分析による品種識別技術を開発してきた。しかし、解析ごとに検出する遺伝子型データに数bpの差異が生じ、品種識別精度に影響することが指摘されている。

このため、「佐藤錦」と「紅秀峰」を基準品種として、使用するSSR(Simple Sequence Repeat)マーカーのアリルサイズを塩基配列解析によって決定し、これに基づく遺伝子型データベースを作成し、アリル間のサイズ差を基にしたより精度の高い技術を開発する。さらに、これらの結果をこれまでの品種識別マニュアルに付け加えたオウトウの品種識別マニュアルの改訂版を作成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 品種識別に用いるSSRマーカーは、平成17年度成果情報「DNA分析によるオウトウの品種識別」で報告した12マーカーとは別に、それぞれが独立に遺伝し、欠失アリルを含まない10種類のマーカーを用いる(表1)。この10マーカーについては、「DNA品種識別技術の妥当性確認のためのガイドライン」((独)種苗管理センター)に基づいて妥当性が確認されている。
  2. 10種類のSSRマーカーの「佐藤錦」と「紅秀峰」における塩基配列を決定し、その結果明らかになったアリルサイズと反復モチーフの反復回数を表1に示す。アリル間のサイズの差は反復配列の反復回数の差と同じである。
  3. 各マーカーにおいて、「佐藤錦」のより小さいアリルのサイズを基準Aとし、その他のアリルサイズをA±αと表記を改めた、各品種の遺伝子型データベースを表2に示す。 データベースの遺伝子型データをもとに、当該品種の正確な特定が可能である。
  4. 各マーカーの塩基配列情報、波形データを加えた、オウトウ品種識別マニュアルの改訂版(図1)を作成し、改訂したマニュアルと、前項3の遺伝子型データベースを用いることで、葉や1つの果実から枝変わり品種を除く約80品種の識別が可能である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本マニュアルの方法は、「DNA品種識別技術の妥当性確認のためのガイドライン」((独)種苗管理センター(平成20年3月))に基づいて妥当性が確認された手法である。
  2. 本マニュアルは農林水産省の品種登録ホームページ(http://www.hinsyu.maff.go.jp/)で閲覧できる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
オウトウのDNA品種識別技術の開発と果実加工品のDNA鑑定
予算区分
受託プロ(食品・農産物の表示の信頼性確保と機能性解析のための基盤技術の開発)
研究期間
2006〜2008年度
研究担当者
高橋由信、高品善、小野寺玲子