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セイヨウナシ樹における樹冠視認度を利用した薬液到達性の評価法

[要約]

樹冠視認度は、セイヨウナシ樹の薬液到達性と正の相関があり、薬液到達性の簡易評価指標として有効である。また、樹冠視認度が低いほど、散布液量の違いが薬液到達性に及ぼす影響が大きくなる。

[キーワード]

セイヨウナシ、薬液到達性、樹冠視認度、散布量削減技術

[担当]

山形農研セ・農生技試・果樹研究科、東北農研・省農薬リンゴ研究チーム

[代表連絡先]

電話0237-84-4125

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

近年の果実生産では、消費者の安全安心指向への対応などから、農薬の効率的散布技術を検討し、化学農薬の投下量を削減することが望まれている。そこで、セイヨウナシ樹冠内部の薬液到達性を評価できる樹冠評価法を開発し、農薬散布量を削減した防除技術の導入や薬液到達性向上のための樹形改善や整枝せん定に役立てる。

[成果の内容・特徴]

  1. 24個の赤丸(直径20cm、4個×6個)を印した1.0m×1.5mの調査板をSS走行方向と平行に樹中央部に立て、SS走路からの各丸印の視認程度を評点化し、その合計値を樹冠視認度とする(図1)。
  2. 6〜8月のいずれの生育時期においても樹冠視認度は、感水紙試験で得られる薬液付着指数と正の相関があり、薬液到達性を評価する場合の簡易評価法として有効である(表1)。
  3. 樹冠視認度が低いほど、散布液量の違いが薬液到達性に及ぼす影響が大きくなる。なお、6月上旬および8月上旬の散布では、樹冠視認度が40を上回っていると、散布液量を300L/10aまで削減しても慣行(500L/10a)と同等の薬液付着が期待できる(図2および図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は、セイヨウナシ樹の樹冠内部の薬液到達性の優劣を判断できることから、薬液到達性の優れた樹を形成するための樹形改善や農薬の散布量削減可能な樹を判断する場合の判定指標としての活用が期待される。
  2. 本成果で用いた樹冠視認度の調査法は、(独)果樹研究所で開発したわい性台リンゴ樹における「葉群密度判定値」の調査法を改良したものである。なお、本成果の樹冠視認度は、SS走路の両側から調査し、その平均より求めた。
  3. 薬液付着指数は、地表面に対し平行(上下)及び垂直(前後)の4点調査できるよう感水紙(Spraying Systems社、商品名「TeeJet」、26mm×38mm)を設置し、水道水をSS(共立社SSV1088FSC、風量900m3、圧力1.5MPa、コーンノズル使用)で散布し付着指数を調査した結果である。なお、付着指数は、カンキツ用の標準付着表(0:付着なし〜10:全面付着)より求めた。
  4. 本成果は、場内の「ラ・フランス」樹(樹齢20年生、栽植距離8×8m、開心形仕立て、樹高5m前後、樹幅8m前後)を用いた試験結果である。
  5. 薬液の到達性は、SS散布口からの距離や使用するSSの散布能力および散布時の風速や風向により変動する場合がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
東北地域における農薬50%削減リンゴ栽培技術体系の確立
予算区分
地域総合「農薬削減リンゴ」
研究期間
2005〜2008年度
研究担当者
高橋和博、本田浩央、須藤佐藏、高部真典、高梨祐明(東北農研)