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肥効調節型肥料を利用したリンドウ株養成期間の低コスト施肥法

[要約]

肥効調節型肥料(LPS200)を主体とする肥料をリンドウの定植時に施肥することにより、2年間の株養成期間の施肥回数を1回だけにすることができる。その場合の窒素施肥量は慣行比25%減が可能であり、肥料費を最大29%削減できる。

[キーワード]

リンドウ、低コスト、株養成期間施肥

[担当]

岩手農研・環境部・生産環境研究室

[代表連絡先]

電話0197-68-4422

[区分]

東北農業・基盤技術(土壌肥料)

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

リンドウの露地栽培では、定植後2年間の株養成期間を経て3年目から本格的な採花を開始するが、現在の施肥基準では、定植1年目の窒素吸収量が施肥量を下回り、施肥量削減の可能性が指摘されていたこと、また、2年目以降の追肥作業はマルチを部分的に除去する必要があることなど、施肥作業や雑草対策の面で課題があった。そこで初期の溶出を抑制するシグモイド型の肥効調節型肥料(LPS200)を用い、リンドウの株養成期間の省力・低コスト施肥法を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. リンドウの定植時にLPS200 を主体とする肥料を施肥した場合、株養成期間2年間の窒素吸収量は慣行と同等以上であり、2年間の窒素施肥量を慣行の25%削減しても窒素吸収量は低下しない(図1)。
  2. LPS200 はリンドウの生育が旺盛になる定植2年目に窒素成分の溶出が急増し、2年目の11月までにおよそ90%が溶出する(図2)。
  3. 3年目に基準量の施肥を行った定植3年目の切り花本数(データ省略)・品質は、25%減肥しても慣行と同等以上である(図3)。
  4. 以上のことから、LPS200 を用いる新規施肥法により、リンドウの株養成期間の窒素施肥量を慣行の25%削減して定植時1回だけにすることができ、肥料費は最大で29%削減される(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. LPS200 配合肥料の成分含有率は、窒素15%、リン酸10%、カリ10%、資材別窒素比率はLPS200 85.6%、ポリ燐安12.4%、硫酸カルシウム2.0%である。LPS200 の溶出抑制期間は100 日、溶出期間は後半100 日、80%溶出到達日数は200 日である。
  2. 土壌タイプや気象条件、品種の早晩性等によっては肥効が変わることも考えられるため、葉色や生育状況に応じて適宜追肥等の対応を行う必要がある。
  3. LPS200 を主体とする肥料を50%減肥した試験区では、窒素吸収量が施肥窒素量を上回ることから、50%減肥についてはさらに検討が必要である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
りんどうの効率的施肥技術の確立
予算区分
県単独
研究期間
2006〜2008 年度
研究担当者
葉上恒寿、多田勝郎、小菅裕明