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遠赤色発光ダイオードによるトルコギキョウ促成栽培における開花促進効果

[要約]

長日処理の光源として、遠赤色発光ダイオードの遠赤色単色光をトルコギキョウ に照射すると、白熱電球の照射に比べ開花が促進される。照射時間は長いほど、照射開始 時期は早いほど、照射終了時期は遅いほど、開花促進効果が高くなる。

[キーワード]

遠赤色発光ダイオード、トルコギキョウ、開花促進

[担当]

宮城農園研・園芸栽培部・花きチーム

[代表連絡先]

電話022-383-8132

[区分]

東北農業・野菜花き(花き)

[分類]

研究・参考

[背景・ねらい]

現在、切り花類の開花調節のための光源は、白熱電球あるいは赤色蛍光ランプが中心である。これは、キク等の短日植物の開花制御が赤色光によることから、白色光に含まれる赤色光を利用するという考えに基づいている。しかし、シロイヌナズナにおいては、長日植物の開花促進に効果的な波長は赤色光ではなく、遠赤色光であることが明らかにされている。本研究では、長日性切り花であるトルコギキョウの開花促進に遠赤色光を利用するため、長日処理の光源として、単色光による照射が可能な遠赤色発光ダイオード(以下LED)を用いた場合の開花促進効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. LEDを用いて遠赤色の単色光を夜間照射すると、無照射や白熱電球照射に比べて、トルコギキョウの開花が促進される(表1)。
  2. 遠赤色LEDの照射時間が長いほど、開花が促進される(表1)。
  3. 遠赤色LEDの照射開始時期が早いほど、開花が促進される(表2)。
  4. 遠赤色LEDの照射終了時期が遅いほど開花が促進されるが、発蕾以降の照射は開花促進の効果が小さい(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 遠赤色LED 照射区では、遠赤色光(ピーク波長735nm)のLEDを108個実装した20cm×20cmのLED パネル(東芝ライテック(株)製、試作品)を使用した。また、白熱電球は電照ランプ(75W、反射形、DENS75WER、東芝ライテック株式会社市販品)を使用した。それぞれ3×0.8mの栽培ベッドの中央、高さ1.7mに1枚または1灯設置した。
  2. 試験区の平均放射照度(400 〜 1000nm)は、LED 照射区で0.43W/m2、白熱電球区で0.71W/m2、であった。
  3. トルコギキョウは各試験区とも、購入苗を本葉4枚時に3×0.8mの栽培ベッドに両品種75本ずつ定植し、最低気温15℃で管理した。開花日は、頂花を含めて4輪開花した日とした。
  4. 遠赤色LED照射によりトルコギキョウの切り花長は確保されるが、切り花重は低下する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
遠赤色光発光ダイオードを活用した切り花類の開花促進技術の開発
予算区分
実用技術
研究期間
2006 〜 2008 年度
研究担当者
鈴木誠一、石井友紀子、本多めぐみ、佐々木厚