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特定農業法人における経営の実態

[要約]

特定農業法人は、営業損益で赤字、経常損益は黒字となる傾向にある。地域農業の担い手として経営を継続して行くためには、地代水準の引き下げ等の政策的支援が求められており、また、経営継承者確保のためにも経営部門の多角化に取り組む必要がある。

[キーワード]

特定農業法人、経営実態、集落営農

[担当]

福島農総セ・企画経営部・経営・農作業科

[代表連絡先]

電話024-958-1700

[区分]

東北農業・基盤技術(経営)

[分類]

行政・参考

[背景・ねらい]

特定農業法人は、担い手不足が見込まれる地域にあって地域の合意に基づき、農用地面積の過半を集積する相手方として位置づけられた農業生産法人であり、集落営農や農地等地域資源管理の担い手として期待されている。

しかし、特定農業法人の経営は、多くは収益性の低い土地利用型作物の生産を中心としており、地域の農地や農業生産の維持のため、どのようにして法人経営を支援していくかが問題となっている。このため、特定農業法人の経営の実態を明らかにし、法人支援のため取り組むべき課題を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 法人が経営する農地の規模は、自作面積(借地主体)と作業受託面積の合計で、20ha台から70ha台であった。
  2. 経営部門は、水稲・大豆・小麦・ソバの生産及び農作業受託が中心である。その他に小麦の加工販売、施設アスパラガス生産、シイタケ生産、地鶏生産を行い、収益増大を図っている事例がある(図1)。
  3. 売上高は、2千万円未満から8千万円以上まで法人の差が大きい。売上総利益は、売上高比で3%から54%を計上していた。1法人はマイナスであった。営業損益では全法人が赤字、経常損益では4法人が赤字、6法人は黒字であった。収益構造は、一般の稲作法人と同等の傾向であった(図1図2図3)。
  4. 各法人の売上高に占める[園芸作物+畜産+農産物加工+その他]の部門割合について[経常損益+役員報酬額]との相関(a)は-0.02であり、経営部門の多角化が法人の利益増大に直接には結びついていない実態が見られた。((a)スピアマンの順位相関係数)しかし、経営多角化により常時雇用者・臨時雇用者を確保し、雇用を通じて地域全体の所得向上に寄与していると思われる事例が観察された。
  5. 法人が支払う地代単価は、ほぼ市町村の標準小作料に準拠しており、地代は売上原価の10%台から40%台を占め経営上負担が大きく、法人からは標準小作料の見直し等の政策的な経営支援が求められていた。
  6. 経営管理指標では、経営の安全性を示す指標は比較的良好なものの、収益性の面では問題がある法人が多かった。また、各指標の目標値達成数では、1項目達成から9項目達成まで法人間の差が大きかった(表1)。
  7. 特定農業法人に対する税制特例である「農用地利用集積準備金」は、6法人で計上されており、税務面からの経営支援(課税繰り延べ措置)を活用していた。
  8. 今後とも法人が地域の農業の担い手として経営を継続して行くためには、経営の安定を図り経営継承者を確保育成する必要がある。そのためには、経営部門の多角化を進め、通年雇用を行える経営を実現する必要があると考える。

[成果の活用面・留意点]

  1. 特定農業法人の経営支援において参考とされる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
地域連携型法人の実態と成立条件の解明
予算区分
県単
研究期間
2006〜2008年度
研究担当者
依田浩文