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地産地消による差別化戦略の消費者ターゲット

[要約]

差別化戦略としての地産地消のターゲットとなる消費者は、食への関心が高く、かつ、高価格を受容する消費者セグメントと考えられ、そういった「差別化受容」型の消費者は全体の23%程度と推測される。

[キーワード]

地産地消、消費者ニーズ、セグメンテーション

[担当]

福島農総セ・企画経営部・経営・農作業科

[代表連絡先]

電話024-958-1700

[区分]

東北農業・基盤技術(経営)

[分類]

行政・参考

[背景・ねらい]

地産地消は「コミュニティ論的地産地消」と「流通論的地産地消」の2つの方向性があるが、農産物の消費拡大を生産振興につなげようとする後者は、地元産農産物の販売促進において重要な概念の一つであり、また、農業収益の確保という視点から、地産地消によって差別化を図り、付加価値を形成する機能も地産地消の意義のひとつと捉えられる。この方向性を持つ地産地消は、そのターゲットとなる消費者セグメントが必ずしも明確ではないため、消費者調査に基づいたライフスタイル・セグメンテーションを援用し、食生活に関する質問に対する応答から、地元産であることを積極的に評価し、かつ、価格差を受容する消費者セグメントを地産地消による差別化戦略のターゲットと想定し、その大きさについて明らかにすることで、地元産農産物の販売戦略に資する。

[成果の内容・特徴]

  1. 食生活全般に関する14の質問を実施したところ、「食品添加物が少ないものを買う」「血圧、血糖値、コレステロールなどが気になる」について当てはまるとした回答が多かった(表1)。
  2. 食生活全般に関する質問の背後に「多忙」「食への関心」「低価格」の3つの潜在的な因子を想定し、因果関係のモデルを設定した(図1)。このモデルに基づき共分散構造分析を行ったところ、修正済適合度は0.907、RMSEAは0.063であり、因果関係のモデルの当てはまりは良好であった。
  3. 共分散構造分析による因子スコアから、ウォード法によるクラスタ分析を行い、消費者を4つに分類した(表2図2)。3つの因子スコアから、「食の外部化型」は「多忙」スコアが大きく「食への関心」スコアが小さいこと、「知識先行型」は「食への関心」「低価格」の両方が大きいこと、「価格優先型」は「低価格」スコアが最大であること、「高価格受容型」は「食への関心」スコアが高く「低価格」スコアが小さいことが特徴である。
  4. 差別化戦略としての地産地消のターゲットとなるのは、「食への関心」が高く「低価格」を求めない消費者であると考えられ、クラスタ分析による「高価格受容型」が相当する。この消費者セグメントは全体の23%を占めた。

[成果の活用面・留意点]

  1. 2006年12月に福島県郡山市全世帯を母集団とし,電話帳により抽出した郵送調査を実施し、1,000件の発送に対して465件を回収した。このうち、回答に不備があるものを除き、408件を分析に供した。
  2. ここでは、必ずしも価格競争力を持つとは限らない地元産農産物における価格差を受容するセグメントを差別化戦略のターゲットと位置づけているため、地元産農産物が価格競争力を持つ場合は「知識先行型」「価格優先型」もターゲットとなりうる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
消費者調査に基づいた地元産農産物に対するニーズの定量化
予算区分
県単
研究期間
2006〜2008年度
研究担当者
半杭真一
発表論文等
半杭(2008)農業市場研究、17(2):34-41