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細切・高密度処理を行った水分含量60%以上の稲発酵粗飼料の発酵特性

[要約]

細切・高密度処理を行った水分含量60%以上の稲発酵粗飼料は、無細切のものと比較してエタノール生成が少ない傾向にあるが、酪酸生成が助長される場合がある

[キーワード]

稲発酵粗飼料、サイレージ、飼料イネ、高水分、ダイレクトカット体系、不良発酵

[担当]

北農研・東北飼料イネ研究チーム

[代表連絡先]

電話019-643-3411

[区分]

東北農業・畜産、畜産草地

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

従来、飼料イネは主に無細切か長切断でロールベールに梱包されてきたが、細切機構を持つ専用収穫機や汎用型細断型ベーラ等の次世代機の登場によって、細切されて高密度な梱包が可能となった。細切・高密度梱包によって乳酸発酵が促進されることが期待されるが、飼料イネにおいて不良発酵が助長されやすい高水分域で収穫された場合の品質改善効果は未解明である。そこで、水分含量60%以上の飼料イネに対して細切・高密度処理を行った場合の発酵品質への影響を実験室規模で明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 水分含量60%以上の飼料イネ250gを無細切で270mm×400mmのポリエチレン・ナイロン積層フィルム(パウチ)に脱気・密封すると、乳酸生成量が少なく、望ましくない発酵の産物であるエタノール生成量の多いサイレージが調製される(図1)。
  2. 無細切と同じ飼料イネ250gを切断長13mmで上蓋に穴を開けた300ml容ボトルサイロに細断型ベーラと同程度の密度(190-280kgDM/m3)で詰め込み、無細切と同様にパウチ内に脱気・密封しても、エタノール生成量は低下するが、乳酸発酵の促進が不十分で乳酸生成量の少ないサイレージが調製される場合がある(図2)。
  3. 細切・高密度サイレージのpHは無細切サイレージよりも低下する傾向にあるが、酪酸発酵の抑制域には至らない場合がある(図3)。このため細切・高密度サイレージは、草汁の利用性が低く発酵全体が抑制される無細切サイレージよりも、酪酸生成量が多くなる場合がある(図4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 水分含量が60%を超える可能性があるダイレクトカット体系において、細切機構を持つ次世代機で収穫する場合の添加物使用を判断する際の参考となる。
  2. 飼料イネに特徴的なエタノール発酵型サイレージは、Vスコアなどの発酵品質評価法で高評価を得る。ただし、pHは高く、その後の貯蔵過程における品質安定性が低いことを考慮する必要がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
東北地域における水田高度利用による飼料用稲生産と耕畜連携による資源循環型地域営農システムの確立
課題ID
212-b.1
予算区分
委託プロ(えさ)
研究期間
2006-2008年度
研究担当者
河本英憲、山口弘道、関矢博幸、小松篤司、田中治、押部明徳
発表論文等
河本ら(2009)日草誌、54(4): 323-327