研究所トップ研究成果情報平成20年度

二価鉄による水稲出芽阻害の品種間差

[要約]

還元土壌で生成される物質、二価鉄を土壌中に添加した際の水稲の出芽阻害程度には品種間差がある。出芽阻害を受けやすい品種は、水稲幼植物を二価鉄を含む水耕液で栽培した場合に地上部の鉄濃度が高くなる。

[キーワード]

水稲、湛水直播栽培、還元土壌、二価鉄

[担当]

東北農研・東北水田輪作研究チーム

[代表連絡先]

電話0187-66-2776

[区分]

東北農業・作物(稲栽培)、作物

[分類]

研究・参考

[背景・ねらい]

水稲の湛水直播栽培の省力・低コスト化を目指す中で、カルパーなどの種子コーティング剤の処理なしでも、高い出芽率を保つ品種の育成が求められている。しかし、土壌中に稲わらや米ぬかなどの有機物を施肥すると、土壌の還元が急速に進み、その結果生成される高濃度の二価鉄は、湛水直播した水稲種子の出芽を阻害することが知られている。そこで、高濃度の二価鉄に対しても出芽阻害が起こりにくい品種の選抜が求められるが、二価鉄による出芽の阻害程度に品種間差があるか、詳細は知られていない。本研究では、ポット播種実験を用い、二価鉄による水稲の出芽阻害程度の品種間差について検定する。また、水耕栽培実験により、水稲幼植物の二価鉄の吸収のしやすさについて解析し、良出芽性品種の選抜方法作出のための知見とする。

[成果の内容・特徴]

  1. 土壌への二価鉄の添加により、Kasalath のように出芽が大きく阻害され、出芽率が0%となる水稲品種がある(図1)。
  2. 二価鉄により出芽が大きく阻害される品種Kasalath(図1)は、二価鉄を含む培養液で水耕栽培した際、地上部の鉄濃度が高く(図2)、二価鉄を吸収しやすい。
  3. 市販のPCR 用96 穴プレートの底に穴を開けたものを栽培容器として用いることで、省スペースで水稲多品種を水耕栽培し、幼植物の二価鉄吸収量の検定を行うことができる(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. ポット播種実験、水耕栽培実験で用いた土壌中、水耕液中の二価鉄濃度は、実際の水田土壌中で起こりうる濃度である。
  2. 本成果は、出芽性が良好な水稲品種を育成する際の選抜方法作出のための知見となる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
東北地域における高生産性水田輪作システムの確立
課題ID
211-k.3
予算区分
基盤、委託プロ(新ゲノム)
研究期間
2007-2008年度
研究担当者
福田あかり、白土宏之、福嶌陽、山口弘道、持田秀之