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斑点米カメムシ類畦畔防除における農薬飛散防止カバーによる飛散リスク低減
[要約]
斑点米カメムシ類の水田畦畔防除において、ジノテフラン液剤散布時にノズルに飛散防止カバーをつけることにより、隣接圃場のアスパラガスにおける残留基準値超過のリスクを低減することができる。
[キーワード]
斑点米カメムシ類、水田畦畔防除、農薬飛散(ドリフト)、ジノテフラン、アスパラガス、農薬残留、飛散防止カバー
[担当]
秋田県農技セ農試・生産環境部
[代表連絡先]
電話018-881-3330
[区分]
東北農業・基盤技術(病害虫)
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
ポジティブリスト制が導入され、農薬飛散(ドリフト)による農薬残留の基準値超過が危惧されている。そこで、秋田県の転換畑で作付の多いアスパラガスを対象に、斑点米カメムシ類の発生源対策として有効な水田畦畔防除について、ドリフトを想定した農薬残留試験を行い、基準値超過のリスクを低減できる技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
- 斑点米カメムシ類の水田畦畔防除を想定した試験において、ジノテフラン液剤散布時にノズルに飛散防止カバーを付けない場合、飛散が多く認められ、粉剤散布と同様に隣接する畝の散布直後のアスパラガスから成分が検出され、基準値超過のリスクがある(図1、図2、表1)。
- 液剤散布時に飛散防止カバーを付けた場合は、飛散量は少なく、アスパラガスでの残留が定量限界未満であり、基準値超過のリスクはより低い(図3、表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 水田畦畔防除での多量の農薬飛散を想定し、ジノテフラン液剤を登録の2倍濃度の500倍で150L/10a、粉剤を登録の1.5倍量の4.5kg/10aを散布した試験である。
- 散布場所に隣接するアスパラガス圃場の1畝を対象とした農薬残留試験である。
- 液剤は背負式動力噴霧機((株)丸山製作所製、MS052型、20L、最高圧力1.5MPa、吸水量5.2L/min.、ワイドノズル2頭口)で散布し、ノズルへの飛散防止カバーはヤマホ工業(株)製サマーラック6型(ノズル:除草剤用N-KA-10R)を使用した。粉剤は背負式動力散布機((株)丸山製作所、MD3020-9型、9L、排気量27.2cm3)で散布した。
- 分析法は公定法に準拠し、定量限界を0.01ppmとした。
- アスパラガスのジノテフランの残留基準値は0.01ppmである。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 消費者ニーズに対応した環境保全型水稲栽培技術の確立
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2007年度
- 研究担当者
- 佐山玲、深谷富夫
- 発表論文等
- 佐山玲(2008)植物防疫、62(2):98-100