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分げつ期の気温経過が水稲生育と土壌アンモニア態窒素に及ぼす影響

[要約]

水稲の20年間の生育解析から、移植から7月初旬までの積算気温は寒冷地北部では高まる傾向にあり生育が早まる。高温で経過した場合は、水稲窒素吸収量の増加が最高分げつ期頃から小さくなり、土壌アンモニア態窒素の残存量は多いが低下が急である。

[キーワード]

水稲、分げつ期、気温、アンモニア態窒素

[担当]

秋田農技セ農試・作物部作物栽培担当

[代表連絡先]

電話018-881-3337

[区分]

東北農業・基盤技術(農業気象)、東北農業・作物(稲栽培)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

地球温暖化の影響は、水稲の生育期間では春の昇温による変動が大きい(下野・2008)とされる。近年の気温経過をみると、1993(平成5)年、2003(平成15)年は低温、1999(平成11)年、2000(平成12)年、2006(平成17)年は夏期の高温となり、気温が高く推移する傾向にある。高温の影響は、水稲登熟期では品質の低下をもたらす(佐藤ら・2001、森田・2008)が、分げつ期の影響は十分に検討されていない。このため、1988年から2007年までの秋田県横手市アメダスの気温経過と農試豊凶考証試験平鹿試験地「あきたこまち」の生育解析から、水稲分げつ期の昇温に対する影響について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 移植から7月初旬までの積算気温は、2000年以降に高くなる傾向にあり、その期間内の日平均気温を高い(以下、20℃)、並(以下、19℃)、低い(以下、18℃)に3区分した結果、幼穂形成期の到達日は20℃が7月10日、19℃が7月13日、18℃が7月15日、減数分裂期は気温経過が高い場合に早まり、出穂期の到達日は20℃が8月2日、19℃が8月4日、18℃が8月8日である(表1)。
  2. 葉色は、6月下旬以降は19℃>20℃>18℃で推移し、最高分げつ期頃から急激に低下する(図1a)。20℃で経過した場合の窒素吸収量の増加は7月中旬以降は小さくなる(図1b)。
  3. 土壌中のアンモニア態窒素の残存量は、移植後から6月中旬頃まで20℃>19℃>18℃で推移し、6月下旬以降には急激に低下がみられ、20℃で経過した場合では顕著である(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 移植後から最高分げつ期頃までの気温に対応する技術対策等の構築に活用する。
  2. 有機物は、イネ収穫後のわら残渣連用である。
  3. 品種「あきたこまち」、移植は5月19〜23日(平均移植日5月20日)、施肥量はN成分7〜8g/m2、栽植密度は22〜19本/m2
  4. 土壌中のアンモニア態窒素量は、採取した作土の生土20gに乾土10gに対して10%塩化カリウム液が80〜100mlになるように20%塩化カリウム液と水を加え30分間振とうし、そのろ液中のアンモニア態窒素を微量拡散法、又は蒸留法で定量した。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
主要農作物の生育時期別栽培技術情報の提供
予算区分
県単
研究期間
1988〜2008年度
研究担当者
佐藤雄幸、松波寿典、三浦恒子、柴田智、金和裕、宮川英雄