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四季成り性イチゴ「エッチエス-138」と「サマールビー」の摘果・摘花房処理の効果

[要約]

イチゴ四季成り性品種「エッチエス-138」では、摘果処理により上物収量が増加し品質が向上するが、「サマールビー」では摘果、摘花房処理による増収効果は認められない。また、両品種とも摘果、摘花房処理による上物果平均1果重の増加は認められない。

[キーワード]

摘果、摘花房、四季成り性イチゴ

[担当]

岩手農研・技術部・南部園芸研究室

[代表連絡先]

電話0192-55-3733

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

近年、東北地域では、四季成り性品種を中心としたイチゴの夏秋どり作型に対する関心が高まっており、岩手県内でも先進的に導入している事例がある。しかし、四季成り性品種の生育特性や栽培管理方法等については十分な知見が得られておらず、品種特性に応じた生産技術の確立が求められている。

そこで、四季成り性品種で連続出蕾性の高い「エッチエス-138」と連続出蕾性の中庸な「サマールビー」を用いて、摘果や摘花房処理が収量に及ぼす影響について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 「エッチエス-138」では、摘果の単独処理、摘花房の単独処理、摘果と摘花房の組合せ処理で上物収量・果数が増加するものの、摘花房の単独処理では果実形状の劣るA品果数が増加して正常果数が減少することから、収量及び品質の両面に優れる処理方法としては、摘果の単独処理が適する(表1図1)。
  2. 「サマールビー」では、摘果や摘花房処理による増収効果は認められない(表1図1)。
  3. 両品種とも摘果、摘花房処理による上物果の平均1果重の増加は認められない(表1図2)。また、両品種とも草高、葉長などの生育反応に差は認められない(データ略)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 芽数は岩手県慣行法に準じて管理し、7月中旬まで3芽に制限、以降は放任とする。また、摘果処理は6月上旬から7月下旬まで実施し、以降は放任とする。
  2. 「エッチエス-138」では、生育初期の草勢を旺盛にすると成り疲れ等により増収効果が低下する場合があるので、適正な草勢維持に努める。
  3. 「サマールビー」への摘果処理は不要であるが、摘果作業により収穫出荷作業の労力分散と軽減が図られるため、規格外品の多い花房先端の果実は積極的に摘果する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
沿岸地域におけるいちご四季成り性品種の安定生産技術の確立
予算区分
県単
研究期間
2007〜2008年度
研究担当者
藤尾拓也、佐藤 弘