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DNAマーカーによるイチゴの連鎖地図作製とイチゴうどんこ病抵抗性に関するQTL解析

[要約]

イチゴ(Fragaria × ananassa)品種「さちのか」とFragaria virginiana の交配集団を供試材料としたイチゴうどんこ病抵抗性に関するQTL解析(量的形質遺伝子座解析)の結果、量的形質遺伝子座は連鎖地図上の3カ所に存在する。

[キーワード]

イチゴ、うどんこ病、連鎖地図、QTL解析

[担当]

宮城農園研・バイオテクノロジー開発部・遺伝子工学チーム

[代表連絡先]

電話022-383-8131

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

研究・参考

[背景・ねらい]

イチゴ(Fragaria × ananassa)の主要品種は、イチゴうどんこ病(Sphaerotheca aphanis)に罹病性のものが多く、抵抗性を有する品種の開発が重要な育種目標になっている。イチゴうどんこ病抵抗性は、主働遺伝子が無く複数の抵抗性遺伝子の集積により抵抗性品種が育成されると考えられているが、関連する報告は少ない。そこで、DNAマーカーによるイチゴの連鎖地図を作製し、QTL(Quantitative Trait Locus:量的形質遺伝子座)解析によりイチゴうどんこ病抵抗性に関する量的形質遺伝子座の数と連鎖地図上の位置を調べる。

[成果の内容・特徴]

  1. イチゴの連鎖地図は、AFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)法,CAPS(Cleaved Amplified Polymorphic Sequence)法,SSR(Simple Sequence Repeat)法,ISSR(Inter-Simple Sequence Repeat)法,RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法,SRAP(Sequence Related Amplified Polymorphism)法によるDNAマーカーで作製している(図1)。137個のDNAマーカーによる30連鎖群から構成され、全長1,360cMを網羅している
  2. 3カ所のQTLが特定でき、それぞれLG5(第5連鎖群)のDNAマーカーaag/ctc-2とA09(500)の区間、LG13のDNAマーカーdCAPS-1AとF3H-EarIの区間、LG16のDNAマーカーCAGA500とaga/caa-5区間に位置する。(図1)。各QTLにおける表現型分散の割合(寄与率)は、LG5、LG13、LG16のそれぞれで21%、23%、24%と同程度の値を示し、主働遺伝子は無い。

[成果の活用面・留意点]

  1. イチゴうどんこ病罹病性の品種「さちのか」と野生種で抵抗性のFragaria virginiana を交配したF2集団93株を供試材料とし、イチゴうどんこ病の発病程度を幼苗検定した結果でQTL解析を行っている。データ解析ツールはマップメーカーを使用している。
  2. イチゴうどんこ病抵抗性に関するQTLが3カ所であることは、イチゴうどんこ病抵抗性品種と罹病性品種の組合わせ交配集団を遺伝解析するダイアレル(相互交配)分析(齋藤と後藤、1997)の結果とほぼ一致する。
  3. イチゴの染色体は28本(2n=8x=56)であることから、連鎖地図は未だ収束には至っていない。さらに連鎖地図を拡大、充実させることでQTL解析の精度が向上する。
  4. QTLに位置するDNAマーカーは、イチゴうどんこ病抵抗性のマーカー選抜技術へ応用できる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
遺伝子解析による品種識別と病害診断技術の開発
予算区分
県単
研究期間
2004〜2008 年度
研究担当者
千葉直樹、板橋建