研究所トップ≫研究成果情報≫平成21年度
受胎率向上のための黒毛和種受胚牛の飼料給与プログラムと血液検査指標
[要約]
黒毛和種受胚牛において移植前発情日から28 日後まで非繊維性炭水化物(NFC)/分解性摂取蛋白(DIP)が5.2〜6.4 の飼料を給与することで高い受胎率が期待できる。また、NFC/DIP 比の指標としてBUN およびB/G(BUN/血糖値比)が有用である。
[キーワード]
受精卵移植、受胎率、NFC/DIP 比
[担当]
岩手農研・畜産研・家畜育種研究室
[代表連絡先]
電話019-688-7315
[区分]
東北農業・畜産
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
胚移植による受胎率は45%前後で推移しその向上が課題となっている。飼料給与と受胎率の関係では高蛋白または、NFC/DIP 比の低い飼料給与が受胎率の低下の要因となっていることが報告されている。また、昨年度の成果から、BUN<13mg/dl、B/G<0.2、アンモニア<50μg/dl が受胚牛の適正値であること、糞便pH がアンモニア濃度と相関しpH6.88 未満が適正であることが明らかとなっている。
そこで、これらの項目を適正値にするための適正なNFC/DIP 比とその給与期間を明らかにし、受胎率の向上を実証する。
[成果の内容・特徴]
- 黒毛和種受胚牛において移植前発情日から28 日後までNFC/DIP が5.2〜6.4 となる飼料を給与することで高い受胎率が期待できる(図1、表1)。
- 移植前発情日からNFC/DIP が概ね5 となる飼料を給与することで、移植日にはBUNおよびB/G、糞便pH を適正値に調整することができる(表2)。
- BUN およびB/G は飼料中のNFC/DIP の指標となる。また、糞便pH も概ねの目安となる(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 血液検査を実施する場合、BUN、血糖値、アンモニアは採食の影響を受けるので、概ね飼料給与4 時間後に実施するのが望ましい。
- 血糖値(フリースタイルキッセイセンサー)、アンモニア(アミチェック)は、採血後時間の経過とともに値が変化するので携帯式測定装置を用い採血後ただちに測定すること。
- 糞便のpH は直腸内または排糞直後のものを使用し携帯式pH メーター(ラコムテスターpH 計)を用いて採取後ただちに測定する。また、血液検査より精度が落ちるので群としての概ねの指標として使用すること。
- 試験区の給与メニューは、試験区T;乾草8kg、圧片とうもろこし1.0kg、試験区II;乾草4kg、稲ワラ4kg、圧片とうもろこし1.2kg を用いたが、使用する粗飼料の成分により大きく異なるので、給与メニューは血液検査値、飼料分析結果
をもとに組み立てること。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 受胎率向上のための受胚牛の飼養管理技術の確立
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2008〜2009 年度
- 研究担当者
- 細川泰子