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黒毛和種肥育牛へのカロテン調整稲発酵粗飼料の通年給与技術
[要約]
完熟期に調製した稲発酵粗飼料を稲わらの代替として肥育全期間給与すれば、肥育中期の血液中のビタミンA濃度はおおむね40IU/dl 以下に低下し、慣行肥育方法と同等の枝肉重量、格付等級が得られる。
[キーワード]
飼料稲、飼料中β−カロテン、血液中ビタミンA、高品質牛肉生産
[担当]
山形農総研セ・畜試・飼養管理科
[代表連絡先]
電話0233-23-8818
[区分]
東北農業・畜産
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
現在の黒毛和種牛の肥育では、高い脂肪交雑を得るため、肥育中期にβ−カロテン含量を調整した飼料を給与する方法がとられている。そこで、稲わらよりカロテン含量が高い稲発酵粗飼料についてもカロテンを減少させて黒毛和種肥育牛へ積極的に給与する技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 飼料稲を完熟期にダイレクトカットにより収穫調製すると稲発酵粗飼料のβ-カロテンをおおむね7mg/kg 以下に減少できる(表1)。
- このカロテン含量を低減させた稲発酵粗飼料を(表2)に示す量摂取させれば、肥育中期に血液中ビタミンA濃度を40IU/dl 以下に維持できる(図1)。
- 1 日当たり増体重は、慣行肥育方法と給与例1との大きな差はなく、給与例2は0.87±0.14kg であり、慣行肥育方法と同等に良好な発育を確保できる(表3)。
- 枝肉重量、肉質は、慣行肥育方法と給与例1との差はほとんどなく、給与例2についても同一血統の枝肉成績の平均と同等であり、慣行肥育方法と同等の高品質な牛肉が生産できる(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 供試した飼料稲発酵粗飼料の一般成分は以下のとおりである
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 秋季天候不順地域におけるカロテン調整飼料稲利用による高品質牛肉の生産
- 予算区分
- 委託プロ(えさプロ)
- 研究期間
- 2006〜2009 年度
- 研究担当者
- 阿部 巖、三上豊治、野川 真、石山 徹、渡辺一博