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日本短角種枝肉脂肪中の脂肪酸組成に影響を与える要因の解析

[要約]

日本短角種の脂肪中に含まれる脂肪酸組成は、飼養方法、種雄牛、関連遺伝子型等により有意に影響を受ける。このことを育種改良等に活用することで、日本短角種枝肉に含まれる脂肪の質の改善が期待される。

[キーワード]

日本短角種、脂肪酸組成

[担当]

岩手農研・畜産研・家畜育種研究室

[代表連絡先]

電話019-688-4328

[区分]

東北農業・畜産

[分類]

技術及び行政・参考

[背景・ねらい]

牛肉中の脂肪酸組成は、脂肪融点に影響し、一般にUSFA/SFA(不飽和脂肪酸割合と飽和脂肪酸割合の比)が大きくなるほど、脂肪融点が低く、口どけの良い脂肪とされている。このことは、牛肉の新たな評価手法として、近年生産現場においても注目されつつある。脂肪酸組成を変動させる要因について、月齢、肥育方法、血統、関連遺伝子型等種々の分野において研究が進行中であるが、日本短角種についての知見は少ない。そこで、日本短角種牛脂中の脂肪酸組成に影響を与える要因の検討を行った。

[成果の内容・特徴]

  1. 主要脂肪酸であるオレイン酸割合は、脂肪酸関連遺伝子である脂肪酸合成酵素(FASN)遺伝子のTW 型をもつことで増加するが、ステアロイルCoA 不飽和化酵素(SCD)遺伝子型は影響を及ぼさなかった。一方、USFA/SFA については、FASN、SCD ともに影響を及ぼさない(表1)。
  2. オレイン酸割合は、性、種雄牛の影響を、USFA/SFA は種雄牛、飼養方法の影響をそれぞれ受ける。一方、生産者の違いはオレイン酸割合、USFA/SFA に影響を及ぼさない(表2)。
  3. 以上より、日本短角種の場合でも、育種改良等により脂肪の質の改善が期待できる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 280 頭の日本短角種枝肉(岩手県I 町産)から採取した皮下脂肪内層の脂肪酸組成データを用いて解析を行った。
  2. USFA/SFA は不飽和脂肪酸割合/飽和脂肪酸割合を示す。
  3. 遺伝子型の分析(表1)は一元配置分散分析法、要因解析(表2)は、性、肥育農家、種雄牛、飼養方法を母数効果とした最小二乗分散分析法により分析した。
  4. SCD 遺伝子は神戸大学が特許取得、FASN 遺伝子は家畜改良センターが特許申請中であり、研究外目的での利用は特許使用許諾を得る必要がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
細断型ロールベーラ等を活用したトウモロコシサイレージ多給短角牛の安定生産と地域ブランドの確立
予算区分
県単
研究期間
2007-2009 年度
研究担当者
安田潤平、佐藤洋一