研究所トップ研究成果情報平成21年度

ジベレリンペーストを利用したナシ「涼豊」の側枝育成法

[要約]

ナシ「涼豊」では、満開後7〜14 日の花芽の基部に1処理箇所当り100mg(チューブ吐出3mm 長)のジベレリンペーストを塗布すると、新梢再伸長率が62〜94%となり、無処理の17〜25%に比較して著しく新梢伸長が促進される。

[キーワード]

ニホンナシ、ジベレリンペースト、花芽、新梢再伸長

[担当]

福島農総セ・果樹研・栽培科

[代表連絡先]

電話024-542-4952

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

ナシ「涼豊」は、現在、福島県オリジナル品種として県内主要ナシ産地で振興が図られているところであるが、花芽着生が良好な反面、葉芽不足により新梢発生量が低下し樹冠拡大が遅滞する事例が報告されている。2007 年に登録された花芽へのジベレリンペースト処理による新梢伸長促進法はこの問題を改善する技術として期待される。そこで、花芽へのジベレリンペースト処理による新梢再伸長効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. ジベレリンペーストを塗布した花芽の新梢再伸長率は2007年が93.8%、2008年では61.8〜63.9%で、無処理(17.4〜25%)に比較して著しく新梢発生が促進される(表1)。
  2. 新梢再伸長効果は満開後7〜14日の処理期間で安定する(表1)。
  3. 花芽から形成された新梢の伸長量、腋花芽分化率及び基部径には無処理との差は認められない(表2)。
  4. 切り返しせん定部の再伸長率は無処理との差は認められないが、全ての処理部で新梢が育成されている(データ省略)。
  5. 切り返しせん定部では、新梢長に処理間差は認められないが、腋花芽分化率は無処理65.8%に対してジベレリンペースト塗布83.5%と高まる(データ省略)。
  6. ジベレリンペースト処理で育成された長果枝に着果した果実の品質には、無処理果実との差は認められない(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. ジベレリンペースト(塗布剤2.7%)処理による効果は、切り返しせん定部に対しては無処理と差は認められないが、定芽花芽に対しては無処理と比較して有意に高い。
  2. ジベレリンペーストは、主枝上の花芽に処理することにより新梢が確保され、側枝(長果枝)育成の効率化が図られる。
  3. 処理予定の花芽は、開花前10 日頃に摘蕾を行う。
  4. 登録の対象樹種はニホンナシのみである。登録されている処理期間は満開後7〜14 日、処理量は1処理箇所当り100mg(チューブ吐出3mm 長)である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
オリジナル品種の高品質安定生産技術の確立
予算区分
県単
研究期間
2007〜2008 年度
研究担当者
佐藤 守