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バラの緩速ろ過法を用いた簡易循環式養液栽培における培養液管理法

[要約]

緩速ろ過法を用いたバラの簡易循環式養液栽培では、専用の培養液処方を用い、培地の状態を指標に1ヵ月間かけ流し方式栽培に切り替えることで、全期間かけ流し式と同等の切り花収量が得られ、培養液排出量、肥料コストが削減できる。

[キーワード]

バラ、環境負荷軽減、緩速ろ過、循環式養液栽培、培養液管理

[担当]

山形農総研セ・園試・野菜花き研究科

[代表連絡先]

電話0237-84-4125

[区分]

東北農業・野菜花き(花き)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

環境保全型農業への取り組みが求められるなか、かけ流し方式が主流であるバラ養液栽培においても循環方式への転換が必要とされている。そこで本県で技術開発を進めている低コスト簡易循環式養液栽培システムにおいて、培養液の管理手法を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 緩速ろ過法を用いた簡易循環式養液栽培では、専用の培養液処方を用いる(表1)。
  2. 循環培養液更新および培地内養液の指標に従い、循環式栽培から1 カ月間かけ流し処方でかけ流し式栽培に切り替え、その後再び循環式栽培に戻す。
    1. 8月
      循環式では高温期に培地内EC が高くなりやすいため、培養液の更新を兼ねてかけ流し栽培。
    2. 8月以外:以下のいずれかを目安としてかけ流し栽培
      1. 濃度障害を回避するため、培地内養液のNa 濃度が200ppm またはCl 濃度が100ppmを超えたとき。(千葉農総研研究成果13(2004)より)
      2. 培地内の高EC 化を防ぐため、循環式化ユニットの循環混合液のEC が2.0dS/m を超えたとき。
    以上の培養液管理により、培地内のEC の上昇を抑制できる(図1)。
  3. 切り花収量、品質および販売額の試算はかけ流し区と同等である(表2)。
  4. 全期間かけ流し式養液栽培に対して施設外への培養液排出量は約7 割、肥料コストは約4 割削減できる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. システムは2004 年度研究成果情報「循環式養液栽培(緩速ろ過法)の開発とバラでの栽培適応性」(技術・参考)を参照のこと。
  2. EC、Na、Cl の測定は1 カ月毎に行う。
  3. Na、Cl の濃度は硝酸銀比色法による簡易水質測定資材で測定できる。
  4. 循環式からかけ流し式に替える場合、緩速ろ過装置内の微生物活性を維持するため、排培養液はろ過装置を経過した後に施設外へ排出する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
バラの環境負荷軽減養液栽培技術の確立
予算区分
県単
研究期間
2006〜2008 年度
研究担当者
永峯淳一、西村林太郎