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耐冷性が強く多収な飼料用米品種「みなゆたか」の育成

[要約]

水稲「みなゆたか」は育成地では“中生の早”に属する粳種で、障害型耐冷性が “極強”と強く、粗玄米収量が「むつほまれ」より多収である。青森県の飼料作物奨励品 種に2008年度採用され、多収安定生産が期待される。

[キーワード]

イネ、みなゆたか、飼料用米、多収、障害型耐冷性

[担当]

青森産技・農林総研・藤坂稲作研究部

[代表連絡先]

電話0176-23-2165

[区分]

東北農業・作物(稲育種)、作物

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

青森県の生産調整水田では年々不作付地(調整水田、自己保全管理等)や耕作放棄地が増加している。一方、畜産農家では飼料価格の高騰により、持続的な経営が行えない状況にある。そのため県では不作付地の有効利用と畜産農家への飼料の安定供給を行うため飼料用稲の作付けを拡大する。2007 年度稲発酵粗飼料用稲品種として「うしゆたか」を採用した。更に、鳥、豚等の飼料用に子実利用の飼料用専用品種の要望が高まったことから、耐冷性が強く子実収量が多収な専用品種を育成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 「みなゆたか」は、耐冷性が強く多収な粳品種育成を目標に、1993 年に「青系135号(ふゆげしき)」を母、「ふ系186号」を父として人工交配を行い、その後代から育成された品種である。
  2. 出穂期は「むつほまれ」並、成熟期は「むつほまれ」並かやや遅い、育成地では“中生の早”である(表1)。
  3. 稈長は「むつほまれ」よりやや長い“やや短稈”で、耐倒伏性は「むつほまれ」並の“強”である。穂数は「むつほまれ」より少なく、草型は“穂重型”である。(表2)。
  4. 障害型耐冷性は「むつほまれ」より3ランク強い“極強”である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pii”と推定され、葉いもち、穂いもちともに“やや強”である。穂発芽性は「むつほまれ」より強い“やや難”である(表2)。
  5. 粗玄米収量は、「むつほまれ」に比べ育成地の平均では3%多収、奨決試験地黒石市、十和田市の平均では4%多収である。精玄米千粒重は「むつほまれ」よりやや大きい(表1)。
  6. 冷害年では「むつほまれ」に比べ不稔発生が少なく、粗玄米収量の差は平年に比べ大きい(図1)。
  7. 玄米品質は「むつほまれ」並である(表1)。
  8. 飼料成分は、粗蛋白質含有率はやや低いがTDN含有率は標準飼料成分値と同等である(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 青森県で飼料作物奨励品種に2008 年度採用され県内全域で普及が見込まれる。普及見込み面積は2,500ha である。
  2. 耐倒伏性は“強”であるが、倒伏を避けるため極多肥栽培は行わない。
  3. 「稲」に登録がある農薬を用い、農薬使用基準を遵守する。籾殻を含めて家畜に給与する場合は出穂期以降の農薬散布は行わない。
  4. 収穫物は一般食用品種と識別性がないため、一般食用品種への混入を防止する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
寒冷地北部及び中山間地向け高度耐冷性、良食味品種及び直播適性の水稲品種の育成
予算区分
指定試験
研究期間
1998〜2008年度
研究担当者
須藤充、神田伸一郎、森山茂治、小野泰一、春原嘉弘、坂井真、舘山元春、前田一春、八島敏行、清野貴将、坂本聖子、横山裕正、川村陽一
発表論文等
1)小野ら(2009)東北農業研究、62:5-6
2)品種登録出願公表(2009年5月28日、出願番号:第23629号)