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倒伏に強く良質・良食味の水稲新品種候補「福島9号」の育成

[要約]

水稲「福島9号」は「ひとめぼれ」より2日程度遅い“中生の晩”の粳品種で、短稈で倒伏に強い。穂いもち圃場抵抗性が“強”で、収量はひとめぼれ並からやや優る。品質は白未熟粒が少なく良質で、「コシヒカリ」並の良食味である。

[キーワード]

イネ、福島9号、耐倒伏性、良質、良食味

[担当]

福島農総セ・作物園芸部

[代表連絡先]

電話024-958-1721

[区分]

東北農業・作物(稲育種)

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

福島県内の主食用粳品種は、「コシヒカリ」が約6割、「ひとめぼれ」が約2割を占めている。一方、近年業務用や家庭用ともに美味しくてかつ価格の安い米が要望されており、「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」だけでは対応が難しい状況になってきている。そこで、「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」よりも、栽培しやすく収量が安定している良質・良食味品種を育成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 水稲「福島9号」は、耐倒伏性が強く品質が安定している良食味品種育成を目標に1995年に、「奥羽357号」を母に、「越南159号」を父として人工交配を行い、その後代から育成された品種である(表1)。
  2. 出穂期は「ひとめぼれ」より2日程度遅い中生の晩に属し、成熟期は「ひとめぼれ」より3日程度遅い(表1)。
  3. 稈長は「ひとめぼれ」より10cm程短い短稈で、穂数は「ひとめぼれ」よりやや少なく、草型は“中間型”に属する(表1)。芒は全体に生じ、最長芒の長さは“中”で穎色は“黄白”、ふ先色は“白”である(表1)。
  4. 第W、第X節間長が「ひとめぼれ」や「コシヒカリ」より短い(表2)。また稈質が強く耐倒伏性は“強”で、「ひとめぼれ」や「コシヒカリ」よりも強い(表1表2)。
  5. いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pia,Pii”と推定され、圃場抵抗性は葉いもちが“やや弱”、穂いもちが“強”である(表1)。障害型耐冷性は“やや強”、穂発芽性は“難”である(表1)。
  6. 玄米千粒重は「ひとめぼれ」や「コシヒカリ」よりもやや大きく、収量性は「ひとめぼれ」並からやや優り、「コシヒカリ」よりも優る(表1)。品質は青未熟粒が見られるものの乳白粒等の白未熟粒が少なく良質である(表1図1)。
  7. 食味官能総合値や味度値は、「コシヒカリ」並で、米飯一粒の表層の硬さや粘りは「コシヒカリ」と同等であった(表1表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 福島県の中通り、浜通り、会津の平坦部への1000ha の作付けが見込まれる。
  2. 青未熟粒により玄米品質が低下する場合があるので、多肥栽培を避ける。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
福島県オリジナル品種開発導入事業(水稲)
予算区分
県単
研究期間
1995 年度〜 2009 年度
研究担当者
吉田直史、大寺真史、佐藤博志、齋藤真一、佐藤弘一、手代木昌宏、大和田正幸、荒井義光、齋藤弘文、半沢伸治、木田義信、江上宗信、浜名健雄、佐々木園子