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ウェブ上で利用できる青森県水稲生育予測システム

[要約]

生産者の適切な栽培管理を支援するため、水稲品種「つがるロマン」、「まっしぐら」について、インターネットを介して生育予測情報を提供するシステムを開発した。精度向上のため、一部のアメダス地点では同観測値を補正して予測するという特徴がある。

[キーワード]

水稲、生育予測、アメダス、つがるロマン、まっしぐら

[担当]

青森産技セ・農林総合研究所

[代表連絡先]

電話0172-52-4396

[区分]

東北農業・作物(稲栽培)

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

青森県の稲作期間は気象変動が大きいため、安定生産には迅速かつ的確な生育情報に基づく、きめ細かな栽培管理が重要となる。このことから、生産者の適切な栽培管理を支援するため、県奨励品種である「つがるロマン」、「まっしぐら」を対象として、インターネットを介して水稲の生育予測情報を提供するシステムを作成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 水稲生育予測システムは、「つがるロマン」、「まっしぐら」について、県内アメダス観測地20 地点における前日までの日平均気温の観測値と当日以降の日平均気温の平年値をもとに、穂首分化期、幼穂形成期、冷害危険期、出穂期、刈取時期を予測するものであり、ウェブサイト(http://www.applenet.jp/)から利用できる(図1)。
  2. 穂首分化期、幼穂形成期、冷害危険期、出穂期は、DVR により予測する。刈取時期は、適期が出穂後積算温度960度C、晩限が「つがるロマン」では同1150度C、「まっしぐら」では同1200度Cに到達する暦日が示される。
  3. アメダス観測地点が市街地に立地しているなど、周辺水田圃場との気温の較差が大きい地点については、補正値を用いて予測精度の向上を図っている(表1)。
  4. 出穂期の予測誤差は、移植日から出穂期を予測した場合、「つがるロマン」が2.6 日、「まっしぐら」が2.8 日である(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 予測結果は誤差を生じることがあるので、実際に栽培作業を行うときは、圃場で水稲の生育状況を確認する必要がある。特に、6 〜 7 月が多照条件では、水田水温が高まり水稲の生育が促進されることから、予測値が実測値より遅れる傾向にある。
  2. 予測結果は、移植苗が3.3 葉(不完全葉含まない)によるものであり、中苗程度(葉齢で2.7 〜 3.8 葉程度)の移植苗を用いた場合は参考にできる。
  3. 生育予測に用いるDVR パラメータは、黒石、十和田アメダスによる気象値と青森県産業技術センター田中圃場(黒石市)、藤坂圃場(十和田市)で得た生育データを元に、「対話型ノンパラメトリックDVR 法プログラム」(竹澤邦夫、職務作成プログラム登録番号P 第7672 号-1)で作成している。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
異常気象に対応した高精度水稲生育予測モデルの開発
予算区分
県単
研究期間
2007 〜 2009 年度
研究担当者
木村利行、上村豊和、工藤予志夫、森山茂治