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寒冷地において飼料用稲収穫後の耕起は翌年の漏生イネの発生を助長する

[要約]

寒冷地において、飼料用稲の収穫時に生じるこぼれ籾は、収穫後の耕起により腐敗が抑制され、越冬中の生存率が高まる。その結果、翌年の漏生イネの発生が助長される。

[キーワード]

飼料用稲、こぼれ籾、漏生イネ、耕起

[担当]

宮城県古川農業試験場・水田利用部

[代表連絡先]

電話0229-26-5106

[区分]

東北農業・作物(稲栽培)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

近年、イネホールクロップサイレージ(以下「イネWCS」)への取り組みが拡大し、今後飼料用稲専用品種の導入も増加することが期待される。しかし、イネWCS では適期である黄熟期に収穫する場合でも大量のこぼれ籾が圃場に落下する。寒冷地においてはこぼれ籾の秋季の発芽による減耗は期待できず、越冬籾を発生源とした後作における漏生イネへの懸念が専用品種導入の妨げとなっている。そこで、耕種的対策の一要素として、収穫後の耕起がこぼれ籾の越冬性と翌年の漏生イネ発生に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 飼料用稲専用品種「ホシアオバ」収穫後に耕起した場合、不耕起と比べ、作土が湿潤でない条件ではこぼれ籾の越冬前の腐敗が抑制され、生存越冬する可能性のある稔実籾の割合が高まる(図1)。
  2. 飼料用稲の収穫直後に圃場を耕起した場合、後作での漏生イネの発生は除草剤を使用した場合であっても増加する傾向がある(図2)。
  3. 中生の飼料用稲専用品種「夢あおば」の収穫時期が遅れた場合や、極晩生の「ホシアオバ」では、翌春までの籾の腐敗が、秋季の耕起でより抑制され、生存越冬する稔実籾の割合が有意に高まる(図3)。
  4. 飼料用稲の収穫時期や品種によらず、秋季に耕起した場合には、後作における漏生イネの発生は増加する傾向がある(図4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は、秋期に降雨が少なく土壌が乾燥し、冬期の積雪も比較的少ない東北中南部太平洋側に位置する、宮城県大崎市の古川農業試験場内において実施した試験に基づくものである。飼料用稲専用品種を、コンバイン型イネWCS 専用収穫機により収穫した後の30a区画圃場での試験結果である。
  2. 飼料用稲の後作における漏生対策としては、適期を逃さず飼料用稲を収穫し、圃場を耕起せずに越冬することが望ましい。やむを得ず翌年に食用水稲品種等を作付けする場合には、直播を避け移植栽培とし、有効な除草剤の使用や立毛での異株抜き取り等の対策も徹底する必要がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
東北中部水田地帯における受託組織による飼料イネ生産・給与技術の実証と構築連携システムの確立
予算区分
えさプロ4系
研究期間
2006-2009 年度
研究担当者
大川茂範、辻本淳一、星信幸