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ナガイモ屑などを8割配合した乳酸発酵液状飼料で離乳子豚が元気に育つ
[要約]
ナガイモ屑などのバイオマス資源を原物重で8割以上配合した乳酸発酵液状飼料を離乳子豚に給与すると市販配合飼料と同等の発育と飼料要求率を示し、利用可能である。また、乳酸発酵液状飼料は、少なくとも1 週間の保存が可能である。
[キーワード]
液状飼料、乳酸発酵、離乳子豚、バイオマス資源
[担当]
青森県産業技術センター畜産研究所・中小家畜・シャモロック部
[代表連絡先]
電話0175-64-2231
[区分]
東北農業・畜産
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
肉豚生産費の75%を占める養豚用配合飼料の原料は輸入に依存し、価格は高止まり、品薄も懸念されている。一方で、農林水産業立県である青森県で多種・多量に発生している農林水産物由来のバイオマス資源は、高水分含量や保存性等の問題から飼料への活用が進まず、多くが産業廃棄物として処理されている。
そこで、バイオマス資源の未乾燥利用が可能で保存性が高まる乳酸発酵液状飼料を用いた子豚の飼養技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
- 摺り下ろしたナガイモ屑と水を等量で混合した液に3種乳酸菌と繊維分解酵素を含有するサイレージ調製剤を0.02%加えて25度Cに放置すると、乳酸濃度が高くなり、pH 値の低い乳酸発酵ナガイモができる(図1)。
- この乳酸発酵ナガイモを用いて表1に示す液状飼料を調合して25度Cに放置すると、乳酸濃度が高くなり、pH 値の低い乳酸発酵液状飼料ができる(図1)。
- 乳酸発酵したナガイモ屑及び液状飼料のpH 値は、3日目以降1週間目まで約4.0 以下を維持し(図1)、少なくとも1週間の保存が可能である。
- 3週齢離乳子豚に、表1に示す乳酸発酵液状飼料又は市販配合飼料の前期飼料の給与を開始した後に6週齢で各々の後期飼料へ切り替えて9週齢まで飼育し、日増体量、飼料摂取量、飼料要求率を比べると(表2)、乳酸発酵液状飼料と市販配合飼料との間に有意な差は認められず、同等の発育成績が得られる。
- 9週齢時の子豚血漿を用いて臨床化学分析値を比べると(表3)、乳酸発酵液状飼料給与では総タンパク質の値が有意に高くなる一方で、BUN、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH の値が有意に低くなり、乳酸発酵液状飼料は市販配合飼料よりも生体への負荷が軽くなる。
[成果の活用面・留意点]
- 3種乳酸菌と繊維分解酵素を含有するサイレージ調製剤としてサイレート水溶性(東亜薬品工業株式会社製造)を用いた成績である。
- 「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」を遵守すること。
- バイオマス資源の活用に際して、腐敗や異物の混入がないことを確認すること。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 未利用バイオマス資源を有効活用した子豚生産技術の確立
- 予算区分
- 交付金
- 研究期間
- 2007〜2011 年度
- 研究担当者
- 阿部則夫