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リンゴ「やたか」のNAA水溶剤散布によるつる割れ軽減対策

[要約]

リンゴ「やたか」に、NAA水溶剤〔1-ナフタレン酢酸ナトリウム水溶剤(商品名:ヒオモン水溶剤)〕の3,000倍液を満開21〜28日後に散布すると、つる割れと内部裂果の発生が軽減される。

[キーワード]

NAA、リンゴ、「やたか」、つる割れ

[担当]

秋田県農技セ・果試・リンゴ部

[代表連絡先]

電話0182-25-4224

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

秋田県のリンゴ主要品種である「やたか」は、つる割れや内部裂果といった果実の障害が発生しやすく、商品性が損なわれたり、収穫前落果がみられるなど、安定生産の上で大きな問題となっている。

そこで、つる割れや内部裂果の発生を軽減するため、NAA水溶剤の「やたか」に対する裂果軽減効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 「やたか」に対し、NAA水溶剤3,000倍液を満開21〜28日後に散布すると、つる割れの発生が軽減できる(図1表1)。なお、本剤の農薬登録上の使用時期は、満開20〜30日後となっている(2011年12月現在)。
  2. 内部裂果についても、発生を軽減させる効果がある(図1表1)。
  3. 散布による果実品質への大きな影響はみられないが、年によって満開28日後の散布で小玉になることがある(表2)。
  4. NAA水溶剤を散布した樹における翌年の開花率(剪定作業後に発芽した全頂芽のうち、花芽の割合)は60%以上で、無散布樹と差はなく、散布による影響はみられない(表3)。
  5. 散布後2〜5日以内に、エピナスティ(新梢先端葉のしおれ)が発生するが、新梢伸長停止期以降は目立たなくなる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 普及対象
    秋田県内リンゴ生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積
    秋田県内7.8ha(2009年現在)
  3. その他
    樹勢が著しく弱い樹に対しては散布しない。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
1-ナフタレン酢酸ナトリウム水溶剤の散布によるリンゴ「やたか」のつる割れ発生軽減効果
予算区分
委託
研究期間
2009〜2011年度
研究担当者
千田さゆり、佐藤善政、森田泉