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雨よけと根域制限栽培における二季成り赤色ラズベリーの冬季せん定方法
[要約]
二季成り赤色ラズベリーで雨よけと根域制限による夏秋どり栽培において、冬季せん定時に秋果着生部のみせん除し、植栽列1m当たりの結果母数を「サマーフェスティバル」で3本、「サウスランド」で6〜7本残すことで、1t/10aの収量が得られる。
[キーワード]
ラズベリー、せん定、結果母枝、結果母枝数
[担当]
宮城県農業・園芸総合研究所・園芸栽培部・果樹チーム
[代表連絡先]
電話022-383-8132
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
二季成り赤色ラズベリーでは生育期間中の雨よけ被覆により、収穫量の増加及び果実の腐敗果率を低下させることができる。また、二季成り赤色ラズベリーは地下茎で増殖する特性があることから、管理を容易にするため根域制限を行って栽培することが望ましいが、二季成り赤色ラズベリーは生育が旺盛であり、前年に発生した結果母枝数を制限せず利用すると、枝葉の伸長による夏季の植栽列内光環境の悪化及び夏季収穫作業への支障が懸念される。そこで、雨よけ被覆と根域制限を組み合わせた栽培環境で目標収量を10a当たり1tと設定した場合の、二季成り赤色ラズベリーの冬季せん定方法と、その際に残す植栽列1m当たりの結果母枝数を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 冬季せん定時に、秋果着生部のみせん除することで「サマーフェスティバル」、「サウスランド」とも慣行で行っていた結果母枝の高さを150 cmとするせん定に比べ、1結果母枝当たりの収量が多く、1商品果重や糖度、酸度などの果実品質も変わらない(表1、2、図1)。
- 冬季せん定の際に残す結果母枝数は、支柱と番線を組み合わせて結果母枝を誘引する垣根仕立て、根域制限幅40 cm、列間1.5m、植栽時の樹間1mとした場合、植栽列1m当たりの結果母枝配置数を「サマーフェスティバル」で3本、「サウスランド」で6〜7本とすると、1果実重が1.1g以上で果形の整った商品果のみで10a当たり概ね1tの収量を達成できる(表1、2、図2)。
- 「サマーフェスティバル」については、樹齢8年生、通年雨よけ被覆をしたハウス内で根域制限栽培(幅40 cm、深さ30 cmの溝を掘り側面に畦畔板を設置)、施肥は窒素成分で10kg/10a、灌水は自動灌水で植栽列1m当たり2.3 リットル/日の栽培環境において得られた成果である。
「サウスランド」については、樹齢2年生(2009 年時)、樹齢3年生(2010 年時)、通年雨よけ被覆をしたハウス内で根域制限栽培(杉板,不織布を用い地上部に高さ30cm、幅40 cm、奥行約8mの箱状の入れ物を作成しその中に植栽)、施肥は窒素成分で3kg/10a(2〜3年生)、灌水は自
[成果の活用面・留意点]
- 普及対象:県内生産者及び新規参入者
- 普及予定地域:県内一円
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 国産ラズベリーの市場創出および定着のための生産・流通技術の開発
- 予算区分
- 実用技術
- 研究期間
- 2009〜2011 年
- 研究担当者
- 高嶋名世瑠、池田裕章、大沼欣生、菊地秀喜
- 発表論文等
- 1)高嶋ら、(2010)東北農業研究63 号:103-104