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夜間の低温を利用したリンドウの育苗方法
[要約]
葉齢2 対葉期から育苗施設の夜温を最低5度C設定として管理することで、芽数の増加と根部乾物重の増加の効果が得られる。さらに、苗質の向上とともに夜間暖房費の節減が期待できる。
[キーワード]
リンドウ、育苗、夜間、低温
[担当]
福島県農業総合センター・花き科
[代表連絡先]
電話024-958-1725
[区分]
東北農業・野菜花き(花き)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
宿根草であるリンドウは、定植年の生育量により翌年以降の切り花収穫量が大きく変動するため、株養成の一環として苗質が重要である。また、多くの場合、育苗期間が2 月頃から5 月頃になるため、育苗施設を加温する必要があり、特に育苗期間の前半の暖房費の負担が大きい。
そこで、リンドウの苗質の向上と育苗施設の暖房費節減を目的として、育苗期における低温への生育反応を明らかにし、低温を利用した育苗方法を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 育苗施設の夜間の最低気温を5度Cに設定することにより、芽数の増加と根部乾物重の増加の効果が得られる(表1、写真1)。
- 最低気温5度C設定への移行時期は生育反応から見て2 対葉期が適当であり、苗質の向上が期待できる(表1)。
- 夜間低温育苗した苗の定植後の生育量は、一般的な栽培管理を徹底した条件下では、慣行育苗した苗と同等である(表2)。
- 夜間低温期間の夜間暖房負荷は、2 対葉期から最低気温5度C設定に移行した場合、慣行比約42%となり、夜間暖房費の節減が期待できる(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 本法の導入により、健苗の育成と暖房費の節減を同時に達成できる。
- 本成果は、福島県郡山市における慣行の育苗方法(2 月中旬に播種、5 月中旬に育苗完了、最低気温15度C設定)に対して実施した試験結果に基づく。
- 育苗期間は長くなる可能性があるので留意する。なお、本試験において2 対葉期に低温管理を開始した場合では、慣行管理より3〜7 日長くなった。
- 夜間暖房負荷の低減率は、育苗施設の設備や立地条件によっての理由により変動するので留意する。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- リンドウの生理生態の解明
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2008〜2010 年度
- 研究担当者
- 矢島豊、宗方宏之、山口繁雄
- 発表論文等
- 矢島ら(2010)東北農業研究、63:165-166