研究所トップ≫研究成果情報≫平成23年度
福島県水稲オリジナル品種「天のつぶ」の栽培法
[要約]
「天のつぶ」は疎植栽培が可能で、窒素施肥量は基肥0.6kg/a 、幼穂形成期0.2kg/aで玄米タンパク含量が6.4 以下となる。品質面から見た刈取適期は出穂後積算気温1000 〜 1200 度Cで品質が良い。「天のつぶ」の生育目標値を作成して生産現場の技術支援を行う。
[キーワード]
水稲、天のつぶ、栽培法
[担当]
福島県農業総合センター作物園芸部*・会津地域研究所**・浜地域研究所***
[代表連絡先]
電話024-958-1722* 0242-82-4411** 0244-35-2633***
[区分]
東北農業・作物(稲栽培)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
福島県オリジナル水稲品種「天のつぶ」は収量が安定している良食味品種として平成22年度に水稲奨励品種として登録されている。
この「天のつぶ」の収量と品質を確保して良食味となる栽培法について検討し、生育目標値を作成して生産現場の技術支援を行う。
[成果の内容・特徴]
- 栽植密度の低い疎植(株間20 cm程度)は、通常(株間16 cm)に比べ、茎数、穂数は少ないが1穂籾数が10 %以上多くなり、通常と同程度の収量を確保することが出来る(図1)。
- 窒素施肥量を多くすると収量は多くなるが、玄米タンパク質含有率は高くなる。また、幼穂形成期と減数分裂期の追肥を比較すると、収量は変わらないが、減数分裂期の追肥ではタンパク質含有率が高い(図2)。このため、a当たり窒素施肥量は基肥に0.6kg、幼穂形成期に0.2kg 施用すると玄米タンパク質含有率が目標値以下となり良食味が確保される。
- 「天のつぶ」は米検査等級が1等となる刈取期間は広いが、刈取適期は青未熟粒が減少する出穂後積算気温1000 度Cから白未熟粒等の増加が少ない1200 度Cの範囲とする(図3)。
- 収量目標を会津は65 〜 70kg/a、中通りと浜通りは60 〜 63kg/a として、検査等級は1等で玄米タンパク質含有率6.4 %以下の良質・良食味を確保する生育目標値を作成して(表1)、生産現場の技術支援を行う。
[成果の活用面・留意点]
- 普及対象福島県の水稲生産者
- 福島県内平坦部(標高300 m以下)、作付目標面積は6000ha(2013 年)
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 水稲有望系統における生育診断技術の確立
- 予算区分
- 県単(2011 〜 2014 年度)
- 研究期間
- 2011 年
- 研究担当者
- 藤田智博・肥田野善隆・朽木靖之・鈴木幸雄・新妻和敏・江上宗信・濱名健雄