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晩生で多収・良食味の水稲新品種「つぶぞろい」の採用

[要約]

水稲「つぶぞろい(秋田97 号)」は「はえぬき」に比べ、収量性が極めて高い晩生の多収・良食味品種である。「あきたこまち」の作付偏重の改善や登熟期の高温を回避した良食味米の生産が期待でき、秋田県では2013 年に奨励品種に採用する予定である。

[キーワード]

イネ、つぶぞろい(秋田97 号)、晩生、多収、良食味、高温回避

[担当]

秋田農試・作物部・作物栽培担当

[代表連絡先]

電話018-881-3330

[区分]

東北農業・稲(稲品種)

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

秋田県では「あきたこまち」の作付偏重を改善するため、「あきたこまち」とは熟期の異なる良食味品種が要望されている。また、近年、気象変動に伴う異常高温によるコメの品質の低下が懸念される中、安定的に良質米を生産するためには、熟期の異なる品種を組み合わせることで登熟期高温に遭遇する危険を分散する必要がある。晩生種である「つぶぞろい」は、「はえぬき」や「あきたこまち」に比べ、いもち病圃場抵抗性、穂発芽性が改善され(川本ら2010)、収量性は極めて高く、玄米外観品質、食味は「あきたこまち」並に優れるため、奨励品種に採用することにより、「あきたこまち」の作付偏重の改善や登熟期高温を回避した良食味米の安定生産が期待できる。そこで、「つぶぞろい」の採用に際して、秋田県内における「つぶぞろい」の生育、収量、品質について「はえぬき」、「あきたこまち」と比較し、その栽培特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 水稲「つぶぞろい」の出穂、成熟は「はえぬき」並で、「あきたこまち」に比べ、出穂期は5〜8日、成熟期は6〜 10 日遅い。稈長は「はえぬき」より長く、「あきたこまち」よりやや短めで、穂長は両品種よりも長い。穂数は「あきたこまち」並で、「はえぬき」に比べ5〜7%少なく、千粒重は重い” 中間型” である。耐倒伏性は「はえぬき」よりやや弱く、「あきたこまち」並である(表1)。
  2. 玄米収量は「はえぬき」より約10%、「あきたこまち」より約15%多い(表1)。
  3. 玄米は千粒重が「はえぬき」、「あきたこまち」より1.5g 以上大きく、玄米外観品質は「あきたこまち」並に良好である。「はえぬき」、「あきたこまち」に比べ、玄米蛋白質含有率は低く、味度値は高い(表1)。
  4. 食味の総合評価は「あきたこまち」、「はえぬき」と同程度で、両品種に比べ、柔らかく、外観が優れる特徴を持つ(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 品種特性:川本ら2010. 晩生で多収・良食味の水稲新品種候補「秋田97 号」の育成.平成22 年度東北農業研究成果情報. http://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/seika/jyouhou/H22/suitou/H22suitou004.html(2012 年12 月20 日閲覧)
  2. 普及予定地域・普及面積:秋田県内平坦部一円(A1、A2)の10,000ha 程度において、「はえぬき」に替わる秋田県の奨励品種として採用する予定である(図1)。
  3. その他:食味の低下を防止するため、極端な多肥栽培は避ける。

[具体的データ]

(秋田県農業試験場)

[その他]

研究課題名
水稲奨励品種決定調査
予算区分
県単
研究期間
2007 〜 2012 年度
研究担当者
松波寿典、柴田智、松本眞一、佐野広伸、佐藤雄幸
発表論文等
川本ら「秋田97 号」品種登録出願2012 年11 月8 日(第27327)