研究所トップ≫研究成果情報≫平成25年度
大豆新品種「シュウリュウ」の岩手県における採用
[要約]
岩手県において「シュウリュウ」は「リュウホウ」に比べ、子実重が多く、耐倒伏性に優れる大粒品種である。また、しわ粒が少なく外観品質に優れ、実需者による豆腐加工適性も高いことから、岩手県では2014年に奨励品種に採用する予定である。
[キーワード]
ダイズ、シュウリュウ、多収、高品質
[担当]
岩手県農業研究センター・技術部・作物研究室
[代表連絡先]
電話0197-68-4417
[区分]
東北農業・畑作物(品種)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
岩手県で豆腐用大豆として作付けされている「ナンブシロメ」は、収量が低く、連作等による小粒化が課題となっている。また、「リュウホウ」は年次によりしわ粒の発生が多く、品質が低下することがある。そこで、県産大豆の安定生産・供給のため、多収、大粒で品質が良く、耐倒伏性および豆腐加工適性に優れる品種の導入を図る。
[成果の内容・特徴]
- 岩手県南部における「シュウリュウ」の開花期は「リュウホウ」より3日程度、「ナンブシロメ」より6日程度遅く、成熟期は「リュウホウ」より6日程度遅く「ナンブシロメ」より4日程度早い(表1)。県北部での開花期は「ナンブシロメ」より4日程度遅く、成熟期は3日程度早い(表1)。
- 主茎長は「リュウホウ」並〜やや短く、倒伏は少ない(表1〜表2)。
- 子実重は県中南部では「リュウホウ」および「ナンブシロメ」より多く(表1、表2)、県北部では「ナンブシロメ」より少ない。(表1)。
- 百粒重は「リュウホウ」並〜やや大きく(表1、表2)、大粒比率が「リュウホウ」より多い(図1)。
- 外観品質は「リュウホウ」、「ナンブシロメ」より良く(表1〜2)、しわ粒および裂皮粒は「リュウホウ」および「ナンブシロメ」より少ない(表2)。
- 粗蛋白質含量は「リュウホウ」より高く(表1、表2)、豆腐加工適性が優れ、食味が良い(表3)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:大豆生産者及び農業改良普及センター等指導機関
- 普及予定地域・普及予定面積:岩手県全域(標高300m以下)、1,000ha、「リュウホウ」および「ナンブシロメ」の一部に替わる奨励品種として2014年に奨励品種に採用予定。
- ダイズシストセンチュウ抵抗性が弱であるため、連作やダイズシストセンチュウ被害の発生した圃場での栽培は避けること。
- 成熟後、やや裂莢しやすいことから、収穫適期に達したら速やかに刈り取ること。
- 茎葉処理型除草剤ベンタゾン液剤に対して薬害および減収が発生する場合がある。ベンタゾン液剤を散布する場合は、2013年研究成果「ベンタゾン液剤に対する大豆シュウリュウの反応特性と薬害を軽減する散布時期」を参照のこと。
[具体的データ]
(岩手県農業研究センター)
[その他]
- 研究課題名
- 大豆の奨励品種決定調査及び有望系統の特性調査
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2007年〜2013年
- 研究担当者
- 伊藤信二、中西商量