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表層細土畝立てマルチ播種機を用いた早生エダマメの省力的播種作業

[要約]

畝立て・マルチ展張・播種を同時に行う表層細土畝立てマルチ播種機により、早生エダマメは1.8〜4.0h/10aで播種できる。砕土率が高く、出芽が安定することで収量・品質が維持され、慣行手播き作業に比べ、播種適期での作付可能面積が増加する。

[キーワード]

早生エダマメ栽培、高能率化、省力化、マルチ播種機、表層細土ロータリ

[担当]

秋田県農業試験場・生産環境部

[代表連絡先]

電話018-881-3330

[区分]

東北農業・農業生産基盤(作業技術)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

秋田県では転換畑でのエダマメの作付面積拡大のための作期前進化が求められている。早生エダマメは、有孔マルチ栽培で行われ、播種は手作業で作業能率が低い(慣行播種作業)。さらに、高齢化の影響で作業者確保が困難で面積拡大の障害となっている。一方、水田転換畑では、出芽安定化と湿害回避のため、砕土率向上と畝立て栽培の必要性が高い。

そこで、高能率化、省力化、出芽安定化を目的に、畝表層の砕土率向上が期待できる表層細土ロータリとマルチ展張・播種が同時に行える播種機を組み合わせた同時播種作業技術(改良播種作業)を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 慣行播種作業の作業姿勢評価(OWAS法)において、AC3、4の発生割合の合計は平均93.1%であり、労働負荷が高く、直ちに改善が求められる(図1)。
  2. 改良播種作業技術は、表層細土ロータリとマルチ播種機の組み合わせで構成され、畝立て・マルチ展張・播種(1畦2条)同時作業が可能である。また、トラクタ前方に施肥機を装着することで、施肥作業が同時に行える(図1)。
  3. 2人作業時の10a当たり作業時間は改良播種作業が1.8〜4.0h/10aで、慣行播種作業の11.0h/10aに比べ大幅に短縮される。また、改良播種作業時間は、6〜8人の組み作業による慣行播種作業時間に相当する(表1)。
  4. 2人作業時の最大負担面積は改良播種作業が4.2〜9.2haで、慣行播種作業の1.5haに比べ2.8〜6.3倍に増加する(表1)。改良播種作業は省力化と軽労化が図られ、面積拡大に貢献できる。
  5. 表層細土ロータリで形成される畝は、通常ロータリや歩行型管理機で形成される畝に比べ、畝上層の砕土率が高く、機械播種による出芽が安定する。さらに、マルチを使用しても機械播種による出芽率の低下はみられず、マルチングの効果でより安定した出芽が確保される(表2)。
  6. 改良播種作業では、早生品種マルチ栽培の目標収量450kg/10aが確保され、良品莢割合は農家慣行と同程度である(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 使用するトラクタは15〜22kWの出力が必要である。
  2. 表層細土ロータリ改良試作機(全幅1.5m)は、正転ロータリと畝上層の砕土率を高めるロータリの2つを有する市販機(Y社、RWA140SK型、全幅1.7m)の耕うん幅を狭めた構造である。また、マルチ播種機は、マルチ穴を検出して播種する機構を有する市販機(A社、AMS-200RW型)の播種部を改良し、1穴当たり1〜2粒を播種する構造である。
  3. 畝立て、播種精度低下を避けるため、播種作業前に事前耕起を行うことが望ましい。

[具体的データ]

(秋田県農業試験場)

[その他]

研究課題名
表層細土畝立て同時マルチ播種機を利用したエダマメ栽培
予算区分
受託
研究期間
2011〜2013年度
研究担当者
齋藤雅憲、本庄求、進藤勇人、小野寺徹(鹿角地域振興局)、尾張充利(北秋田地域振興局)