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四季成り性イチゴ「なつあかり」当年苗の花芽分化・発達に及ぼす温度の影響

[要約]

自然日長下で採苗した当年苗は、採苗後約30 日間の育苗期間の平均気温が20℃以 上であると花芽分化が抑制される。当年苗への定植前長日処理終了後から収穫開始までの 有効積算温度は828℃・日(基準温度7.1℃)である。

[キーワード]

なつあかり、当年苗、長日処理、花芽分化

[担当]

(地独)青森県産業技術センター野菜研究所・栽培部

[代表連絡先]

電話0176-53-7175

[区分]

東北農業・生産環境(農業気象)、野菜花き(野菜)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

一般に四季成り性イチゴ品種は長日条件で花芽分化・発達が促進され、「なつあかり」の当年苗を使った年内どり作型が示されている(濱野ら、平成22 年度研究成果情報)が、青森県では普及していない。そこで、「なつあかり」の当年苗を利用した秋以降どり作型開発の一助とするために、花芽分化・発達に及ぼす温度の影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 自然日長下で採苗した当年苗は、採苗後約30 日目の花芽分化に対して育苗期間中の気温の影響が大きく、平均気温20℃を境界にして、それ以上の高温であると花芽分化株率が低下する(図1)。
  2. 当年苗の7 月及び8 月定植では、定植前長日処理後の定植から収穫までに約2 か月程度を要する(表1)。
  3. 開花から収穫開始までの積算温度は、およそ480℃・日であり、定植月にかかわらず同程度である(表2)。
  4. 長日処理後の定植日から収穫開始日までの積算温度を整理すると、定植が遅いほど積算温度は高くなるが、基準温度7.1℃の有効積算温度で整理すると、定植日による変動が小さくなり、その平均は828℃・日である(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 「なつあかり」における当年苗の生理的特徴を活かした秋以降どり作型の参考となる。
  2. 当年苗への定植前長日処理で花芽分化株率をほぼ100% とするには、光源に白熱灯を使用し、24 時間日長となるように育苗期間中に2 週間実施する。
  3. 青森県では8 月下旬以降の花芽分化及び定植前長日処理なしではハウス内を加温しても年内収量はほとんど得られず、年内に10a当たり1t程度以上(株当たり165g程度)の可販果収量を得るには、7 月上旬までに花芽分化をさせて定植を行う必要がある。

[具体的データ]

(伊藤篤史)

[その他]

研究課題名
涼しい夏を活かす!国産夏秋イチゴ安定多収技術の開発・実証、青森ブランド野菜販売力強化のための新作型開発
予算区分
農食事業(23006)、青森県交付金
研究期間
2011〜2013 年度、2009〜2013 年度
研究担当者
伊藤篤史、庭田英子、岩瀬利己