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帰化雑草「ゴウシュウアリタソウ」に対する数種土壌くん蒸剤の防除効果

[要約]

雨よけ栽培ホウレンソウで問題となっているゴウシュウアリタソウに対して防除効果が高い土壌くん蒸剤は、ダゾメット粉粒剤とカーバムナトリウム塩30%液剤である。

[キーワード]

ゴウシュウアリタソウ、土壌くん蒸、防除効果、雨よけ栽培、ホウレンソウ

[担当]

岩手県農業研究センター 県北農業研究所 園芸研究室

[代表連絡先]

電話0195-47-1070

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

帰化雑草ゴウシュウアリタソウ(Chenopodium pumilio R. Br.)は、非休眠性の種子が発芽後約3 週間で稔実する特性があり繁殖力が旺盛である。岩手県では雨よけ栽培ホウレンソウにおいて特に大きな問題となっており、2013 年現在、県北地域を中心とした3 市4 町1 村で発生が確認されている。

これまで本種の防除指導に関しては、岩崎((2001),「雑草とその防除」38, p70-72)によるポット試験の結果に従い、くん蒸処理後に残草が認められなかったカーバムナトリウム塩30%液剤の使用を勧めていた。しかし、他のホウレンソウ登録剤による防除効果を評価してほしいと、県内のホウレンソウ産地から要望があった。

そこで、ゴウシュウアリタソウに対する土壌くん蒸処理による防除効果を、現地ホウレンソウ圃場にて確認する。

[成果の内容・特徴]

  1. ダゾメット粉粒剤の20〜30kg/10a 処理、カーバムナトリウム塩30%液剤の60L/10a処理、クロルピクリンくん蒸剤の10,000 錠/10a 処理は、無処理と比較していずれも本種の発生密度を抑制できる(図1)。特に、ダゾメット粉粒剤とカーバムナトリウム塩30%液剤の防除効果は同等に優れている。
  2. 6 月下旬にくん蒸処理した場合、処理後2 作目の収穫時(8 月下旬)まで効果が認められる(表1)。
  3. 10a 当たり薬価と土壌くん蒸処理機器の有無を考慮して薬剤を選択する(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果では、土壌くん蒸処理の被覆資材としてガス難透過性ポリフィルムを用いた。
  2. 具体的な土壌くん蒸処理方法については、各薬剤の技術資料等を参照する。
  3. くん蒸処理後にもわずかに発生する本種は次作以降の発生源となるため、結実前に手取り除草することが望ましい。
  4. くん蒸処理済み施設への種子の再侵入や未発生施設への拡大を防止するため、使用機器の洗浄や雨水の流入防止等に努める。

[具体的データ]

(岩手県農業研究センター)

[その他]

研究課題名
新農薬の効果検定と防除指針の作成(1997 年〜2013 年)
予算区分
民間委託
研究期間
2013 年
研究担当者
藤沢 巧