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四季成り性イチゴの秋冬どり栽培におけるクラウン冷却と電照の効果
[要約]
四季成り性イチゴを 7 月上旬に定植し、8 月から 12 月まで収穫する作型において、電照を利用した長日処理及びクラウン冷却を行うことで、夏秋期の花房出蕾数が増え、収量が大幅に増加する。
[キーワード]
四季成り性イチゴ、すずあかね、サマードロップ、長日処理、クラウン冷却
[担当]
宮城県農業・園芸総合研究所園芸栽培部野菜チーム
[代表連絡先]
電話022-383-8132
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
四季成り性イチゴ栽培において温暖化による夏期の高温で花房出蕾が阻害され収量・品質が不安定になるなどの問題が生じている。そこで電照による長日処理(暗期中断2h)とクラウン冷却技術を活用することで、安定的生産を可能とする栽培方法の開発を行う。
[成果の内容・特徴]
- クラウン冷却に使用した冷却チューブ表面温は、ハウス内が40℃ 以上となる高温時でも24℃ 以下を保ち、クラウン部の温度も低下するなど明確な冷却効果があった(図1) 。
- 四季成り性イチゴの「サマードロップ」及び「すずあかね」を7 月上旬に定植し12 月まで収穫する作型において、夏季高温期にクラウン冷却を行うことで夏季の花房出蕾数が増え(図2)、8 月〜 9 月の収量が向上する(表1) 。
なお、クラウン冷却による増収効果は特に「すずあかね」で顕著に認められる。
- 同様の作型において、短日条件となる8 月から電照による長日処理を行うことで、「サマードロップ」、「すずあかね」とも9 月以降の花房出蕾数が増え(図2)、生育後半にあたる10〜12 月の収量が向上する(表1) 。
[成果の活用面・留意点]
- 栽培試験は宮城県名取市にある宮城県農業・園芸総合研究所内パイプハウスで行い、うね幅120cm の土耕ベッドに株間25cm、条間25cm の2条植えで7 月1 日に定植した。
- クラウン冷却は9 月末日までイチゴのクラウン部に接触設置した外径16mm の硬質プラスチック製単管チューブに19〜 22℃ の農業用水を毎分2〜 3 リットル24 時間通水して行った。
- 地下水を利用できる立地条件であれば、安価で簡易なクラウン冷却を導入することが可能である。
- 電照には白熱電球を使用し、株付近の照度を20〜40lux に調整し、23:00〜 1:00の暗期中断2 時間処理を8 月1 日から11 月末日まで実施した。
- 「すずあかね」でこれらの処理を行う際、着果数が過剰となり、株疲れにより草勢が低下することがあるので、必要に応じて摘果・摘房を実施する。
[具体的データ]
(宮城県農業・園芸総合研究所)
[その他]
- 研究課題名
- 新たな産地育成を可能にする果菜類の作型開発
(1)四季成り性イチゴの秋冬どり栽培の開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2010-2012 年度
- 研究担当者
- 大鷲高志、柴田昌人、高野岩雄
- 発表論文等
- 大鷲ら(2013)東北農業研究、66:129-130