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ワラビのポット苗を利用して耕作放棄地を早期に成園へ誘導する栽培体系
[要約]
これまでのワラビ栽培は種苗の確保が困難で、定植してから成園に至るまで3年以上かかり、この間の雑草対策に多くの時間を要していたが、畝立て・黒マルチを設置してからワラビのポット苗を定植することで解決され、耕作放棄地にも導入できることを実証した。
[キーワード]
山菜類、ワラビ、ポット苗、成園化
[担当]
山形最上産地研究室
[代表連絡先]
0233-22-2201
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
山間・中山間地の生産振興および耕作放棄地の有効活用を図るため、萌芽後は草高約1.5mの群落を形成し、倒伏防止を目的とした7月の刈り払い作業だけで、9月には茎葉が元どおり再生するワラビが注目されている。一旦成園に至ると、連年に渡ってワラビの茎葉で圃場をほぼ完全に覆うことができるが、これまでは種根の確保や雑草対策が問題で、成園までに時間を要していた。そこで成園に誘導するまでの効率的な栽培技術を開発し、現地で実証する。
[成果の内容・特徴]
- ワラビのポット苗は、種根を4月に圃場から掘り上げ、生長点をつけて約6cmに調製し、9cmポリポットに鉢上げすると成苗率が高い(図1、図2)。
- 畝間1.5m、ベッド幅0.7mで黒マルチを設置し、株間0.5mでワラビのポット苗を定植すると(1333個/10a)、葉面積は種根を直接定植する慣行栽培を上回り、3年目の収量も同等以上となる(図3)。
- ワラビのポット苗は、これまでの種根を直接定植するよりも少ない種根量で充足できるため、種苗費を大幅に削減できる。また、マルチ栽培ができるので、除草にかかる労働時間も少ない(表1)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:主に土地条件の不利な山間、中山間地域の農林業者。
- 普及実績:農業および林業の普及組織と連携し、県内10ヶ所に計5haを導入済み。今後も拡大予定。
- その他:これまで組織、個人から100件以上の問い合わせ有り。栽培研修会を10回開催。新聞、広報誌に5件記載。マニュアルを1000部作成し、希望者に配布済み。
- 山形県が運営する農業情報サイト「あぐりん」に公開。
[具体的データ]
(岡部和広)
[その他]
- 研究課題名
- 耕作放棄地からの価値創出!ワラビの早期成園化技術の開発(22031)
- 予算区分
- 実用技術開発事業
- 研究期間
- 2010〜2012年度
- 研究担当者
- 岡部和広、中村人史(山形森林セ)、古澤優佳(山形森林セ)、角田毅(山大農)