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低アミロース米で焼成した米粉ケーキの糖組成
[要約]
低アミロース米で焼成した米粉ケーキは、デンプンの老化抑制効果が高いマルトトリオースなどの三糖類を多く含み、焼成後の食感が中アミロース米の米粉ケーキに比べ柔らかい。
[キーワード]
米粉、低アミロース、ケーキ、マルトトリオース、デンプン
[担当]
宮城県産業技術総合センター・食品バイオ技術部
[代表連絡先]
電話022-377-8700
[区分]
東北農業・流通加工
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
低アミロース米(アミロース含量3〜17%)は、米粉ケーキに加工した際、中アミロース米(アミロース含量17〜23%)とはスポンジの食感が異なることが知られる。そこで、洋菓子分野において低アミロース米の需要拡大を目指すため、低アミロース米を原材料とした米粉ケーキの糖組成と食感の関係を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 低アミロース米「ゆきむすび」の米粉は、中アミロース米「ひとめぼれ」のものに比べ、加温により三糖類のマルトトリオースを多く生成する(図1)。マルトトリオースは、デンプンが結晶構造に戻るのをインターカレーションにより作用し、ブドウ糖の多糖の中で最も老化抑制作用が強いことで知られる。
- 米粉ケーキを焼成した場合、低アミロース米「ゆきむすび」の米粉はマルトトリオースを含む三糖を多く生成し、続いて二糖、単糖の順序である(表1)。
- 原材料の砂糖に加え生成したマルトトリオース等の三糖類は、低アミロース米が多く含むアミロペクチンの分岐構造に作用し老化を抑制する。その結果、低アミロース米を原材料として焼成した米粉ケーキは、中アミロース米のものと食感が異なり、特に歪率20%と80%で荷重が小さく柔らかい(図2)。
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[成果の活用面・留意点]
- 低アミロース米を米粉ケーキの原材料として普及する際、低アミロース米の特徴として本情報を活用する。
- 試験例(米粉150、卵150、牛乳50、上白糖60、油40(重量比)、焼成190度C、30分)のような一般的な製造工程で、「ゆきむすび」以外の低アミロース米品種も同様に糖類が増加する。(千葉 2015)
- 三糖のマルトトリオースは、報告のある単糖のグルコースから七糖のヘプタオース迄で最もデンプンの老化抑制効果が高く、重量当たりグルコースとヘプタオースの約2.4倍である(小野2014)。
[具体的データ]
(千葉直樹)
[その他]
- 研究課題名
- 高度米利用技術導入による新たな米加工食品の開発
- 予算区分
- 食料生産地域再生のための先端技術展開事業(先端プロ)
- 研究期間
- 2012〜2014年度
- 研究担当者
- 千葉直樹、桜井晃治、畑中咲子、庄子真樹
- 発表論文等
- 食品の試験と研究(2015)49号