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良質・良食味でいもち病に強い水稲新品種「青天の霹靂」の育成

[要約]

「青天の霹靂」は、青森県での熟期が“中生の中”の粳種である。「つがるロマン」に比べ、耐倒伏性やいもち病抵抗性、耐冷性が強く、玄米品質が優れ良食味である。

[キーワード]

イネ、青天の霹靂、良質、良食味、いもち病抵抗性

[担当]

青森県産業技術センター農林総合研究所・水稲品種開発部

[代表連絡先]

電話0172-52-4312

[区分]

東北農業・稲(稲品種)

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

近年、全国的な米消費量の減少と米価が下落する中、青森県では産米のイメージアップと評価向上の牽引役となるブランド米を育成するため、食味が安定して優れる新たな品種の開発が待ち望まれている。このため、いもち病抵抗性や耐冷性等の栽培特性が強化され、良質な良食味米を安定的に生産可能な品種を育成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 「青天の霹靂」(旧系統名「青系187号」)は、中生で良質・良食味品種の育成を目標に、2006年に「北陸202号(夢の舞)/青系157号」のF1を母、「青系158号」を父として人工交配を行い、その後代から育成した品種である。
  2. 出穂期および成熟期は「つがるロマン」並で、育成地では“中生の中”に属する粳種である(表1)。
  3. 稈長は“やや短稈”で、穂長および穂数は「つがるロマン」並で、草型は“偏穂重型”である。稈の太さは“太”で、耐倒伏性は「つがるロマン」より強い“やや強”である。粒着密度は“中”で、籾には短芒を生じ、ふ先色は“白”である(表1)。
  4. 障害型耐冷性は「つがるロマン」より強い“強”である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は“PiaPii”と推定され、ほ場抵抗性は葉いもちが“極強”、穂いもちが“強”である。穂発芽性は“難”である。収量性は「つがるロマン」並かやや低い(表1)。
  5. 玄米千粒重は「つがるロマン」よりやや重く、玄米の外観品質は「つがるロマン」よりやや優る(表1写真1)。
  6. 白米のタンパク質含有率は、「つがるロマン」並かやや低く、白米のアミロース含有率はやや低く、味度は並である。食味は、「つがるロマン」に比べて、粘りがやや強く、柔らかく、総合評価は優る(表1)。

[普及のための参考情報]

  1. 普及対象:青森県内の生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積:青森県の津軽中央地帯(山間冷涼地帯を除く)および津軽西北地帯・約1,100ha(2015年度)
  3. その他:なし

[具体的データ]

(地方独立行政法人 青森県産業技術センター農林総合研究所)

[その他]

研究課題名
第II期水稲良食味品種早期開発事業及び「売れる青森米」水稲新品種強化育成事業
予算区分
県単
研究期間
2006〜2013年度
研究担当者
前田一春、神田伸一郎、上村豊和、須藤弘毅、今智穂美、須藤充、小林渡、川村陽一、三上泰正
発表論文等
須藤充ら「青天の霹靂」品種登録出願 2014年10月6日(第29616号)