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春期草地更新時にイタリアンライグラスを混播すると更新当年から放牧できる
[要約]
春期更新においてオーチャードグラスと初期生育に優れるイタリアンライグラス極早生品種を混播することで草地更新当年からの放牧利用を可能とし、次年度以降はオーチャードグラス優占草地となり、4 t/10a 以上の収量確保が可能である。
[キーワード]
春期更新、イタリアンライグラス、オーチャードグラス
[担当]
岩手県農業研究センター畜産研究所・外山畜産研究室
[代表連絡先]
電話019-681-5011
[区分]
東北農業・畜産飼料作
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
通常の草地更新は8 -9 月に行われるが、作業の集中を避けるために、これまで採草地での初冬期や春期の草地更新技術が開発されてきた。しかし、放牧地に春期更新技術を導入する場合には更新当年夏期は放牧地の利用は難しく、遊休期間を生じることになる。そこで、永年牧草のオーチャードグラス(OG) とともに初期生育に優れるイタリアンライグラス( IR)極早生品種を混播して春期更新することにより、更新当年からの放牧利用を可能とし、翌年度以降4 t/10a 以上の収量を確保する。
[成果の内容・特徴]
- 5月の圃場の融雪後に草地更新することで、7 月下旬( 播種後2 か月)にはオーチャードグラスの草丈が30cm に達し、放牧利用が可能となる(図1)。
- 草種及び播種量は、イタリアンライグラス( 極早生種)0.5kg/10a とオーチャードグラス2.5kg/10a とし、春期に播種することにより、更新当年は3 回の利用で牧草収量2 t/10a を確保できるとともに、更新次年度は5 月末から6 回の利用で4 t/10a 以上が期待できる(図1 、表1および2)。
- オーチャードグラスの割合は初年度初回放牧時の14%から3 回目放牧時には69%に達し、2年目の初回放牧時から優占種となる(表2)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:放牧利用農家および公共牧場
- 普及予定地域:県下全域
- その他:
- 草地更新当年において、越冬前にイタリアンライグラスが残っている場合は掃除刈りを行うことで雪腐病の発生防止につながる。
- 草地更新作業の工程は完全更新と同様である。また、当研究室圃場の施工時期は5 月としたが、融雪後に対象圃場の土壌水分が低下し、機械作業が可能になった時点を目安に施工とすること。
- イタリアンライグラス晩生品種では、極早生品種に比べて利用2年目においてイタリアンライグラスの占有率が高くなる場合がある(表2)。
- 非選択性除草剤処理を実施しなければ、前植生の優占により期待した更新効果が得られない場合がある。
[具体的データ]
( 飯村太一、増田隆晴、佐々木正俊)
[その他]
- 研究課題名
- 生育速度の速い草種等を用いた放牧地の春期更新・早期利用技術体系の確立
- 予算区分
- 県単(2013〜15)
- 研究期間
- 2013〜2015 年度
- 研究担当者
- 飯村太一、増田隆晴、佐々木正俊