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水挽き製法による米粉の製造技術の開発
[要約]
精米を水温20℃の水に50 分以上浸漬した後、電動石臼で水とともに粉砕し、脱水することにより水分45%程度、最頻粒度6μm、デンプン損傷率1.8%程度の高水分米粉の製造が可能となる。玄米においても10 時間以上の浸漬により米粉の製造が可能である。
[キーワード]
米、水挽き米粉、粒度、澱粉損傷率、乾式気流粉砕米粉
[担当]
山形県農業総合研究センター・食品加工開発部
[代表連絡先]
電話023-647-3500
[区分]
東北農業・農業生産基盤(流通加工)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
米粉の利用拡大の推進には、米粉が使いやすい価格になることが望まれており、原料米のコスト低減とあわせて、製粉のコスト低減が必要である。また、6次産業化を志向する生産者が自家産米の利用のために委託製造する場合、委託費や製粉数量に課題がある。このため、本研究では安価な機械を利用し、水に浸漬した米を磨砕方式により粉砕する高水分米粉(以下、水挽き米粉)の製粉技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 米を水に所定時間浸漬した後、原料米の2倍量の水と共に電動石臼で粉砕し、自然落水及び遠心脱水することにより水挽き米粉を製造することができる(図1)。精米の場合、水温20℃で50 分以上の浸漬により、水分43.7〜45.8%、原料に対する歩留まり87〜93%の水挽き米粉を製造することができる(表1)。玄米の場合は、10〜24 時間の浸漬により、水分46.7〜48.2%、原料に対する歩留り83〜86%の米粉を製造が可能である(表2)。
- 精米を50 分以上浸漬した水挽き米粉のデンプン損傷率は1.7〜1.8%程度であり、乾式気流粉砕米粉の10.4%や、市販湿式気流粉砕米粉の3.5%よりも、デンプン損傷率は低い(表1、表3)。また、玄米の場合も、10〜24 時間浸漬することによりデンプン損傷率1.6〜2.4%の米粉を製造することができる(表2)。
- 50 分以上浸漬した精米を電動石臼で粉砕した水挽き米粉の最頻粒度は、6μm 程度であり、非常に細かい米粉となる(図2)。一方、10〜24 時間浸漬した玄米の水挽き米粉は、精米と同様に胚乳部分が粒度6μm 程度、糠部分が250μm〜1mm と考えられる幅広い粒度の米粉となる(図2)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:山形県内の米加工実践者および志向者
- 普及予定地域等:山形県内全域
- その他
- 精米及び玄米表面には微生物が付着しており、加工工程において微生物の繁殖が懸念されるため、必要に応じて微生物の除去対策を行う他、水温や設置場所の気温をなるべく20℃以下に管理し、器具・機械等の衛生管理に留意する必要がある(表4)。
- 電動石臼は処理量にあったサイズを選択する必要がある。本成果は、湿式磨砕機((株)長沢機械製作所製サワーボーイNSG-08F 型、セラミック臼)を使用し、脱水には吟醸
用搾り袋(綿2B)および遠心脱水機((株)マキ製作所製250-T型)を使用した。
- 水挽き米粉は高水分米粉であるため、加工に際しては持込み水分を勘案する必要がある。持ち込み水分は水挽き米粉と普通の米粉(水分10〜20%)に含まれる水分の差から求められ、麺やパンなどの加工が可能となる(図3)。
[具体的データ]
(砂健、鬼島直子、勝見直行)
[その他]
- 研究課題名
- 県産米の利用拡大を図るための米加工品新規製造法の開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2012〜2014 年度
- 研究担当者
- 砂健、鬼島直子、勝見直行
- 発表論文等
- 東北農業研究68:27-28