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タマネギ春まき栽培における除草剤体系処理による雑草防除法

[要約]

タマネギの無マルチ春まき栽培では、4 月中下旬の定植時にジメテナミドP・ペンディメタリン乳剤400ml/10a またはペンディメタリン乳剤500ml/10a を処理し、5 月中下旬にシアナジン水和剤200g/10a を処理することで、6 月下旬まで雑草を抑制できる。

[キーワード]

タマネギ、春まき栽培、雑草防除、除草剤、体系処理

[担当]

岩手県農業研究センター・県北農業研究所

[代表連絡先]

電話0195-47-1074

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

タマネギを春まき栽培する場合、タマネギは定植後初期の生育が緩慢であり、加えて葉形が細長く地表面を遮蔽できないことから雑草害を受けやすく、特に無マルチ栽培では雑草対策が重要となる。そこで、無マルチ春まき栽培における除草剤の種類と処理時期について検討し、除草剤のみによる防除体系を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 4月中下旬のタマネギ定植時に処理する土壌処理剤はジメテナミドP・ペンディメタリン乳剤(商品名:モーティブ乳剤)400ml/10a の効果が最も高く、5月下旬まで雑草の発生を抑制できる。次いでペンディメタリン乳剤(商品名:ゴーゴーサン乳剤)500ml/10aの効果が高い(表1)。
  2. ペンディメタリン乳剤500ml/10a の定植時土壌処理に加えて、5月中下旬のタマネギ生育期にシアナジン水和剤(商品名:グラメックス水和剤)200g/10a を土壌処理することで、6月下旬まで雑草の発生・生育を抑制できる(表2図1)。
  3. 以上の結果から、4月中下旬のタマネギ定植時にジメテナミドP・ペンディメタリン乳剤400ml/10a またはペンディメタリン乳剤500ml/10a を土壌処理し、5月中下旬のタマネギ生育期にシアナジン水和剤200g/10a を土壌処理する防除体系により、栽培期間中の手取り除草が不要となる(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 適用土壌はペンディメタリン乳剤では全土壌、ジメテナミドP・ペンディメタリン乳剤では全土壌(砂土を除く)、シアナジン水和剤では記載無しとなっている。効果・薬害等の注意並びに安全使用上の注意に従って使用する。
  2. 除草剤使用時は乾燥を避け、降雨後などの適湿条件下で処理をする。シアナジン水和剤は高温条件下での使用により薬害を生じる可能性があるため、気温が上昇する前の5月下旬までに処理をする。
  3. シアナジン水和剤は土壌処理剤であるが、シロザやイヌビユ、ナズナ、ハキダメギクなどに対しては本葉数3葉前後まで伸長した個体にも効果を発揮する(データ略)。
  4. イネ科雑草が多発する場合、イネ科雑草を対象とした茎葉処理剤を追加で使用する。
  5. マルチ栽培における除草剤を用いた雑草防除法については未検討である。

[具体的データ]

(岩手県農業研究センター県北農業研究所)

[その他]

研究課題名
(H24-18)たまねぎ春まき栽培技術の確立
予算区分
委託(農食事業)
研究期間
2012〜2014 年度
研究担当者
福田拓斗、横田啓、武田純子
発表論文等
東北農業研究第68:125-126