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春どり用の晩抽性一本太ネギ新品種「秋田はるっこ」
[要約]
「秋田はるっこ」は、抽だい株率が低く安定しているため、春どりで収穫期間が長く、収穫労力の分散が期待される。また、葉鞘が長く太いため、収量性が高い。葉鞘が柔らかく、一般のネギが堅くなりやすい春どりネギの品質向上が期待できる。
[キーワード]
晩抽性、一本太ネギ、新品種、秋田はるっこ、春どり
[担当]
秋田県農業試験場・野菜・花き部
[代表連絡先]
電話018-881-3330
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
ネギ栽培において、5〜6月は、ほとんどの品種が“とう立ち”して堅い花茎を生ずるため、出荷できない端境期となる。そのため、春どり栽培では抽だいしにくい「元晴晩生」(武蔵野種苗園)や「羽緑一本太」(トーホク)等の晩抽性ネギが導入されているが、「元晴晩生」は分げつすることが、「羽緑一本太」は葉鞘部が堅すぎることと晩抽性が不十分で、収穫適期幅が短いことが栽培上の課題となっている。そこで、現地の要望を受け、十分な晩抽性を保持し、柔らかく分げつしない春どり用の一本太系オリジナル品種の育成を図る。
[成果の内容・特徴]
- 「秋田はるっこ」は、晩抽性の「長悦」(みかど協和)、および秋田県の地方品種で柔らかい「亀の助」を素材として育成した晩抽性系統同士を組み合わせた、一本太ネギ系のF1 品種である。F1 採種する上で必要な細胞質雄性不稔の形質は、「夏扇2号」(サカタのタネ)から導入している(図1)。
- 「秋田はるっこ」は、既存の晩抽性ネギ「羽緑一本太」より抽だい株率が低く、年次変動も少ないため晩抽性が安定している(表1、図2)。そのため、春どり栽培において収穫期間が長く、収穫労力の分散が期待される。
- 「秋田はるっこ」は、「羽緑一本太」より葉鞘が長く、太いため、全重および調製重が重く、収量性も高い(表1、図3)。
- 「秋田はるっこ」は、「羽緑一本太」より柔らかく、首部の締まりがやや緩い(表1、図3)。そのため、葉鞘が堅くなって評価が下がる春どりネギの品質向上が期待できる。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:秋田県内のネギ生産者。
- 普及予定地域・普及予定面積等:普及予定地域は、積雪量が少ない秋田県沿岸部。ただしハウスを利用する場合は県内全域で栽培可能。普及予定面積は、現在の「元晴晩生」や「羽緑一本太」と置き換わるとともに、春どりの栽培面積拡大を見込んで20 ha 程度。
- 作型は春どり専用で、露地栽培では、5月播種、7月定植、翌年5〜6月収穫、ハウス栽培では7〜8月播種、9〜11 月定植、翌年5〜7月収穫となる。
- 夏どりや秋冬どりの作型では、分げつ株が発生しやすいため適さない。
- 種子は、2018 年度から公益社団法人秋田県農業公社において秋田県内限定で販売予定である。
[具体的データ]
(秋田県農業試験場)
[その他]
- 研究課題名
- 秋田のオリジナル品種を核とした秋田ブランドを確立する新品種育成
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2000〜2015 年度
- 研究担当者
- 椿信一、佐藤友博
- 発表論文等
- 秋田県「秋田はるっこ」品種登録出願 2015 年9 月4 日(第30440 号)