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栽培イチゴの四季成り性に連鎖するDNA マーカー

[要約]

SSR マーカーFxaACA02I08C は、イチゴ品種「サマーベリー」、「エバーベリー」、「Hecker」の四季成り性遺伝子座と連鎖し、四季成り性個体の選抜に利用可能である。

[キーワード]

栽培イチゴ、四季成り性、DNA マーカー

[担当]

農研機構東北農業研究センター・畑作園芸研究領域

[代表連絡先]

電話019-643-3433

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

四季成り性イチゴは、一季成り性イチゴに比べ収穫時期の拡大が可能であるが、品種改良の歴史が浅く、さらなる品質向上が必要である。四季成り性イチゴの育種においては、まず四季成り性個体を選別する必要があるが、四季成り性の判別には長期間の開花調査を必要とする。また、栽培イチゴは8倍体であるためDNA マーカーの開発も遅れており、これまでに開発された四季成り性選抜DNA マーカーは選抜効率に問題がある。そこで、四季成り性遺伝子座と密接に連鎖し、効率的な選抜を可能とするDNA マーカーを開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 開発したSSR マーカーFxaACA02I08C の151bp の増幅断片(図1)は、四季成り性品種「サマーベリー」、「エバーベリー」、「Hecker」の四季成り性遺伝子座(Evb)と密接(1.1〜1.5cM)に連鎖しており(図2)、四季成り性個体の選抜指標として利用できる。既報の四季成り性マーカーChFaM011(Castro P. et al. 2015)はEvb から6.5〜8.5cMの範囲に座乗することから、本マーカーの選抜効率はより高い。
  2. 上記3品種において、マーカーFxaACA02I08C の151bp の増幅断片は、179bp の増幅断片と対立関係にある。これらの増幅断片に基づく遺伝子型と表現型の分離比は、栽培イチゴの四季成り性が単一の優性遺伝子に支配されることを示す(表1)。これらの増幅断片を指標として四季成り性遺伝子型(ホモ型およびヘテロ型)を判別可能である。
  3. マーカーFxaACA02I08C について、一季成り性品種・系統のなかにも151bp の増幅断片を持つものが存在する(表2)。これらの増幅断片は、サイズは同じであるが四季成り性とは連鎖していない。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本マーカーを用いて、上記四季成り性3品種と一季成り性品種との交雑次代の季性を判定する場合、以下の3つに類型化できる。(1)交配相手の一季成り性品種が151bpの増幅断片を持たない場合(表2、「おおきみ」等):交雑後代のうち151bp の断片を持つ個体が四季成り性である。(2)151bp の断片を持つが179bp の断片を持たない場合(表2、「あまおとめ」等):上記四季成り性品種において151bp の断片と対立関係にある179bp の断片を指標として選抜が可能であり、179bp の断片を持つ後代が一季成り、持たない後代が四季成りである。(3)151bp、179bp 両方の断片を持つ場合(表2、「章姫」等):151bp の断片を持つが179bp の断片は持たない後代は四季成り、逆に151bpの断片は持たないが179bp の断片を持つ後代は一季成りと判定できるが、151bp と179bpの両方を持つ個体については、マーカー遺伝子型から季性を判別できない。
  2. 本マーカーを「サマーベリー」、「エバーベリー」、「Hecker」以外の四季成り性品種・系統に用いる場合には、四季成り性との連鎖関係や増幅断片の対立関係など、マーカーの有効性を明らかにする必要がある。
  3. 多型の検出にはシークエンサーを必要とする。
  4. 発表論文に記載した以外の実験条件(PCR 法や蛍光標識法、プライマーへの付加配列の有無、用いる機器の種類等)によっては、増幅断片長が変わりうる。

[具体的データ]

(本城正憲)

[その他]

研究課題名
果菜類の高品質化・生産性向上に資する品種・系統の育成
予算区分
交付金
研究期間
2008〜2015 年度
研究担当者
本城正憲、布目司、片岡園、矢野孝喜、濱野惠、山崎浩道、山本俊哉、森下昌三、由比進、塚崎光
発表論文等
Honjo M. et al. (2016) Euphytica : doi: 10.1007/s10681-015-1626-6