研究所トップ研究成果情報平成27年度

イチゴうどんこ病(レース0)抵抗性に連鎖するDNA マーカー

[要約]

「さちのか」に由来するイチゴうどんこ病(レース0)抵抗性は、単一の主働遺伝子に支配され、開発したDNA マーカーIB535110 を用いて抵抗性個体を効率よく高精度に選抜できる。

[キーワード]

イチゴ、うどんこ病抵抗性、レース、DNA マーカー

[担当]

農研機構東北農業研究センター・畑作園芸研究領域

[代表連絡先]

電話050-3533-4608

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

イチゴの最重要病害の1つであるうどんこ病は、絶対寄生菌Podosphaera aphanis によって引き起こされ、国内には2レースの存在が知られている(内田、井上1998)。このうちレース1は、広範なイチゴ品種に病原性を示し、その発病程度にはイチゴ品種間で量的な差異が認められる。一方、レース0に対しては、「とよのか」、「さちのか」などが質的な抵抗性を示し、その抵抗性は単一の優性遺伝子支配と推定されている。これまでにレース0に対する抵抗性を選抜するためのDNA マーカーは開発されておらず、抵抗性個体の選抜には、圃場において自然発病させた株の観察調査を必要とする。そこで、うどんこ病(レース0)に対する抵抗性個体を効率よく選抜するため、抵抗性と連鎖するDNA マーカーを開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. うどんこ病(レース0)に対して罹病性の「みやざきなつはるか」と抵抗性の系統08-と-f(罹病性品種「豊雪姫」×抵抗性品種「さちのか」)の交雑F1 世代147 個体を用いたQTL 解析の結果、寄与率の高いピークが1つのみ見出されることから、うどんこ病(レース0)抵抗性は、単一の主働遺伝子に支配される(図1)。
  2. この主働遺伝子座に連鎖するDNA マーカーIB535110 を用いると、アガロースゲル等を用いた電気泳動において、約470bp の増幅DNA 断片の有無で、うどんこ病(レース0)抵抗性個体と罹病性個体を判別できる(図2)。
  3. 罹病性品種「みやざきなつはるか」と、「さちのか」に由来する抵抗性品種・系統「おおきみ」、08-と-f、09sE-b45e との交雑F1 世代(計134 個体)において、マーカーIB535110の増幅DNA 断片の有無と表現型との適合率は97.6〜100%である(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果情報のDNA マーカーは、うどんこ病(レース0)の抵抗性に連鎖したものであり、他のレースに対する抵抗性の選抜には利用できない。
  2. 本DNA マーカーを用いた選抜法は特許出願中のため、利用には許諾が必要である。

[具体的データ]

(本城正憲)

[その他]

研究課題名
果菜類の高品質化・生産性向上に資する品種・系統の開発
予算区分
交付金、その他外部資金(資金提供型共同研究)
研究期間
2012〜2015 年度
研究担当者
本城正憲、由比進、塚崎光、小石原弘明(トヨタ自動車)、榎宏征(トヨタ自動車)、村松正善(トヨタ自動車)、西村哲(トヨタ自動車)
発表論文等
小石原ら「イチゴ属植物のうどんこ病抵抗性関連マーカーとその利用」特願2015-54168 (2015年3月18日)