研究所トップ研究成果情報平成27年度

エゾリンドウとササリンドウの種間雑種における塊茎と越冬芽の特徴

[要約]

エゾリンドウとササリンドウの種間雑種において、塊茎と越冬芽は両種の中間的特徴を示し、全体が地表に露出する越冬芽はほとんどなく、地中で発生して先端を地表に出す越冬芽が多い。

[キーワード]

エゾリンドウ、ササリンドウ、種間雑種、塊茎、越冬芽

[担当]

岩手県農業研究センター・技術部

[代表連絡先]

電話0197-68-2331

[区分]

東北農業・野菜花き(花き)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

切り花リンドウは、主にエゾリンドウ(Gentiana triflora)、ササリンドウ(G. scabra)および両種の種間雑種から成り、多年生であるため一度定植すると5年程度の採花が見込まれるが、株の生育を維持するための生理生態的知見が不足している。そこで、エゾリンドウとササリンドウの両種における塊茎と越冬芽の特徴を平成26 年度研究成果情報「エゾリンドウおよびササリンドウの栽培株における塊茎の発達と越冬芽の発生」としてまとめたところである。

以上をふまえて、両種の種間雑種における塊茎および越冬芽の生態を明らかにし、安定生産技術の開発に活用する。

[成果の内容・特徴]

  1. 種間雑種の塊茎数、塊茎乾物重、最大越冬芽径および越冬芽数は、エゾリンドウとササリンドウの概ね中間的特徴を示す(表1図1)。
  2. 越冬芽の発生位置は、エゾリンドウでは地表・半地中・地中に及び、ササリンドウでは地中のみに限定されるのに対して、種間雑種では半地中・地中と両種の中間的特徴を示す(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. エゾリンドウ、ササリンドウおよび種間雑種それぞれの生態に即した株の維持技術等の開発に活用する。具体例として、平成23 年度研究成果情報「エゾリンドウの主塊茎と副塊茎に着目した株の経年推移」と同様の試験を、エゾリンドウより研究事例の少ないササリンドウおよび種間雑種について実施する際の参考とする。
  2. 種間雑種の供試品種として晩生種「フィナーレ」( エゾリンドウ×ササリンドウ、T 社育成) の1 〜 3 年生株および6 年生株を、2015 年11 月16 日に花巻市の栽培ほ場より掘り上げて調査した結果であり、他の種間雑種品種については未検討である。また、比較としたエゾリンドウとササリンドウの供試品種はそれぞれ「安代の秋」「安代のさわかぜ」であり、平成26 年度研究成果情報「エゾリンドウおよびササリンドウの栽培株における塊茎の発達と越冬芽の発生」より引用した。
  3. 種間雑種の供試株は組織培養苗を定植したものであり、比較としたエゾリンドウおよびササリンドウは実生セル苗を定植したものである。いずれも定植前に、ジベレリン処理、栽培中に株仕立てが行われている。
  4. 種間雑種の1〜2年生株で塊茎数が多く(表1)、越冬芽数が多いのは(図1)、組織培養苗を定植したことによると考えられる。また、種間雑種の3年生株で塊茎乾物重が小さいのは(表1)、特に過湿なほ場であったため生育が抑制されたものと考えられる。

[具体的データ]

(阿部弘)

[その他]

研究課題名
リンドウの生育・生態調査
予算区分
県単
研究期間
2014〜2015 年度
研究担当者
阿部弘