光反射シートを用いたイチジクのアザミウマ類の防除


[要約]
イチジク栽培で6月から光反射シートをマルチすると、ミカンキイロアザミウマなどアザミウマ類の飛来が防止されて初期果実の被害が軽減される。
和歌山県農林水産総合技術センター・果樹園芸試験場・紀北分場
[連絡先] 0736-73-2274
[部会名] 生産環境(病害虫) 
[専 門] 作物虫害
[対 象] 果樹
[分 類] 普及

[背景・ねらい]
 イチジク栽培では、果実の着色向上のために光反射シートを8月からマルチとして敷くが、このシートは昼行性害虫の飛来忌避としても有効なことが知られている。そこで、被害が多い6月からの敷設によるアザミウマ類に対する防除効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. アザミウマ類の発生消長は6月中下旬にピークとなり、その後急激に減少する。粘着トラップで誘殺数の多い種はおもにネギアザミウマとヒラズハナアザミウマである(図1)。ミカンキイロアザミウマはトラップで占める割合は低いが、果実で検出される誘殺割合が高く(表1)、被害を起こしやすい種である。
  2. 初期果実の‘目’が開口する6月上中旬から光反射シート(反射率90%以上)を畝の両側に幅50cmでマルチする。
  3. ミカンキイロアザミウマとその他のアザミウマ類の粘着トラップへの誘殺数は、マルチ区が無処理区に比べて6月下旬まで約1/3に減少する。しかし、7月に入ると処理間の差は認められない(図2)。被害果率と被害度はトラップでの誘殺数に比例し、無処理区に比べてマルチ区で約1/3に減少する(表2)。
  4. 以上の結果から、アザミウマ類による被害は初期の果実に多く発生するため、これを抑制できる光反射シートの6月からの設置はアザミウマ類の防除に有効である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 光反射シートに薬剤防除を併用すると防除効果が高まる。
  2. 7月に入ると茎葉が繁茂するために、効果は低下する。
  3. 6月からマルチを敷いても果実の着色に悪影響は認められない。

[その他]
研究課題名:イチジクのミカンキイロアザミウマの発生生態と防除対策
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成10〜12年)
研究担当者:森下正彦、小山昌志、北野欣信
発表論文等:第82回関西病害虫研究会(講要)

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