[成果情報名]

イチジク夏果専用種「キング」の選定と整枝せん定法

[要約]7月に夏果の収穫が可能なイチジク品種のうち、「キング」は栽培が容易なことに加え、収量、品質ともに優れる。慣行の一文字整枝を基本とし、主枝上に結果枝と予備枝を交互に配置することにより、10a当たり約1.4t程度の収量が得られる。
[キーワード]イチジク、キング、品種、夏果、収量、品質、せん定法
[担当]兵庫中央農技セ・園芸部
[連絡先]0790-47-2424
[区分]近畿中国四国農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 消費者の健康志向の高まりなどもあり、市場でのイチジクの需要は根強く、生産量が増加している。しかし、本県で栽培されているイチジク品種は、8〜10月収穫(露地)の「桝井ドーフィン」に限られており、多様性に乏しい。そこで、品種の多様化を図るとともに収穫労力を分散するため、露地でも7月に収穫の可能な夏果に着目し、品質良好で収益性の高い品種の選定とその整枝せん定法について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 供試したイチジク品種のうち、夏果採り用には「キング」が品質、収量の両面からみて最も有望である。「キング」以外の品種は、着果が少ないうえに生理落果が多く、収穫果率が低いため、収量が少ない(表1)。
  2. せん定法は、「桝井ドーフィン」の一文字整枝よりも新梢を密に配置し(片側20〜30cm)、うち半数の枝は冬期せん定時に切り戻さず、結果枝とする。残りの半数の枝は秋果採り品種と同様に短く切り戻し、次年の結果枝育成のための予備枝とする()。
  3. 「キング」の10a当たり換算収量は、一文字整枝では約1.4tとなり、慣行の開心自然形整枝に比べるとかなり多い(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 「キング」は7月下旬までに収穫が終わるので、秋果採り「桝井ドーフィン」の補助品種として労力分散、規模拡大を目的に導入する。
  2. 成熟果の果皮色が黄緑色であるため、収穫適期の判定がやや難しい。触感による収穫時期把握を徹底する。

[具体的データ]

表1

図

表2


[その他]
研究課題名イチジク夏果・秋果の収量増大技術の開発
予算区分県単
研究期間1998〜2000年度
研究担当者真野隆司、新田衣央、水田泰徳、堀本宗清、浜田憲一
発表論文等平成13年度近畿・中国・四国果樹研究会で発表

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