[成果情報名]

イチゴにおけるワタアブラムシ防除のための天敵(コレマンアブラバチ)放飼時期

[要約]施設土耕栽培イチゴにおいて、栽培期間中のワタアブラムシ密度を収穫果に影響がない程度に抑制するためのコレマンアブラバチの放飼時期は、ワタアブラムシ寄生株率が秋では5%程度である。
[キーワード]ワタアブラムシ、コレマンアブラバチ、放飼、寄生株率
[担当]島根農試・環境部・病虫科
[連絡先]0853-22-6650
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、環境保全型農業が重視されるようになり天敵をはじめとする生物農薬の登録が進むと共に、イチゴ栽培においても天敵を用いてアブラムシ類防除を試みる農家が増えてきた。しかし、放飼時期、放飼量などの目安が明確でないため容易に利用できない状況にある。そこで、アブラムシ類の寄生株率を目安とした適切な天敵(コレマンアブラバチ)放飼時期について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 促成栽培イチゴでのコレマンアブラバチ(Aphidius colemani )を3.6a当たり500頭を放飼した場合、放飼21〜30日後よりマミーが認められる。秋の放飼時におけるワタアブラムシ寄生株率が4.0%以下の場合、栽培期間を通してワタアブラムシによる収穫果への被害は認められない。しかし、10.0%(1999年)、7.6%(2001年)では、葉、果梗、果実にすす病を発生する株がみられる。(表1図1
  2. コレマンアブラバチ放飼後のワタアブラムシ寄生株率の推移は、7日〜10日に2倍以上に増加する場合が多く見られる。(表1
  3. 以上の結果、ワタアブラムシの寄生株率が秋では5%程度でコレマンアブラバチの放飼を行うとワタアブラムシの密度を収穫果に影響がない程度に抑制できる。

[成果の活用・留意点]

  1. 天敵放飼の時期を決定するワタアブラムシの調査は1週間から10日の間隔で圃場全体で少なくとも50株程度について行う。天敵は数カ所に放飼する。
  2. ワタアブラムシ数が極度に多い場合は薬剤のスポット散布を併用する。
  3. コレマンアブラバチが寄生しない種類のアブラムシの発生に注意が必要である。
  4. 今後、加温栽培での放飼時期についても検討する必要がある。

[具体的なデータ]

表1

図1


[その他]
研究課題名生物農薬を用いた施設野菜害虫の防除技術
予算区分県単
研究期間2000〜2002年度
研究担当者澤村信生、板垣紀夫
発表論文等

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