[成果情報名]

いもち病抵抗性に優れるイタリアンライグラス新品種「山系31号」

[要約]初のイタリアンライグラスいもち病抵抗性を有する新品種「山系31号」を育成した。いもち病が発生しやすい西南暖地で9月上旬から播種が可能で、年内と春の収量が共に多収である。冠さび病抵抗性は“強〜極強”である。
[キーワード]育種、イタリアンライグラス、いもち病抵抗性、冠さび病抵抗性、早播き適性、極早生、乾物分解率
[担当]山口農試・育種開発部・作物育種グループ
[連絡先]083-927-0211
[区分]畜産草地、近畿中国四国農業
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 イタリアンライグラスいもち病(Pyricularia sp.)は西南暖地を中心に、近年発生が目立っている。本病害の感染は気温が20〜25℃前後の高温で促進されるため、特に西南暖地で早播きすると大きな被害をもたらす恐れがある。しかし、本病害に対する抵抗性品種は市販されていないので、早急に新品種を育成する必要がある。

[成果の内容・特徴]

  1. 初のいもち病抵抗性品種を育成した。既存の品種の抵抗性は“極弱〜弱”であるが、本品種の抵抗性は“中”で明らかに強い(表1)。
  2. 育成地での春の出穂期は3月下旬で、ミナミアオバよりさらに5日〜10日程度早い極早生である。
  3. いもち病が発生しやすい西南暖地で9月上旬からの播種が可能で、9月中旬までに播種することにより、11月中旬〜12月上旬に出穂始めから出穂期に達して年内草を安定して収穫できる。また、再生力にも優れるので春にも多収が期待できる。
  4. 乾物収量は、適地とする近畿・中国・四国から九州・沖縄にかけて多収で、九州地方で特に多収である。9月播種による適地2年間平均の年内収量、春の収量および合計収量は、ミナミアオバ対比で各々159、121、131である(表2)。
  5. 冠さび病抵抗性は“強〜極強”である(表3)。
  6. 年内草の乾物分解率はミナミアオバよりも8.5ポイント有意に高い。
  7. 2倍体で、草型、草丈、葉身長、葉幅、稈径などの形態はミナミアオバとほぼ同等である。
  8. 耐倒伏性は既存品種と同等である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 適地は西南暖地全域で、特にイタリアンライグラスいもち病の被害が生じやすい九州地方は最適地である。普及見込み面積は約2,800haである。
  2. 発芽直後の苗立枯れ症については抵抗性が必ずしも強くないので、西南暖地で8月以前に播種することは避ける。
  3. 種子は平成16年までに市販される予定であるが、詳細は連絡先にお問い合わせ下さい。

[具体的データ]

表1

表2

表3


[その他]
研究課題名イタリアンライグラス極短期利用系統の育成(山系31号)
予算区分指定試験、21世紀プロ
研究期間1991〜2001年度
研究担当者水野和彦、藤原 健、横畠吉彦、小田俊光、小橋 健、林 克江、尾ア理英、芦沢宏之、牛見哲也

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