[成果情報名]

黒毛和種去勢肥育牛の胸最長筋内脂肪の脂肪酸組成

[要約]黒毛和種去勢肥育牛の脂肪酸組成は、種雄牛によって影響されるが、30か月齢から35か月齢の間では屠畜月齢に影響されない。また、脂肪酸組成は枝肉重量との関連が見られず、肉質等級(3〜5)との関連性は高くない。
[キーワード]加工利用、肉用牛、黒毛和種去勢牛、脂肪酸組成、種雄牛、屠畜月齢
[担当]兵庫中央農技セ・畜試・家畜部
[連絡先]0790-47-2427
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 牛肉の美味しさは脂肪酸組成によって大きく影響され、モノ不飽和脂肪酸(MUFA)割合が多いと風味が良いと言われている。脂肪酸組成は品種、性、給与飼料によって異なることが報告されているが、枝肉市場での黒毛和種肥育牛の脂肪酸組成を調べた成績はほとんどない。そこで、兵庫県内で生産された黒毛和種去勢肥育牛313頭について枝肉の第6-7肋間から胸最長筋内脂肪を採取しガスクロマトグラフによって脂肪酸組成を分析し、種雄牛、屠畜月齢及び枝肉性状によって脂肪酸組成が異なるかどうかを調べる。

[成果の内容・特徴]

  1. MUFA割合は種雄牛産子間で有意に異なっている(表1)。
  2. 屠畜月齢が30から35か月齢の間ではMUFA割合に差は見られない(表2)。
  3. 枝肉重量による脂肪酸組成の違いは認められない(表3)。
  4. 5等級のMUFA割合は4等級よりも有意に高い値を示すが、3等級との間には有意な差は見られない(表4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 黒毛和種の育種改良にこれらのデータを活用することにより、より美味しい牛肉の生産が可能になると考えられる。
  2. 調査対象牛は兵庫県内で生産された但馬牛であり、但馬牛と増体性の大きく異なる牛では結果が異なる可能性がある。

[具体的データ]

表1

表2

表3

表4


[その他]
研究課題名但馬牛における脂質特性とその制御法の検討
予算区分県単
研究期間1997〜2000年度
研究担当者岡章生、岩木史之、道後泰治、太田垣進
発表論文等1)岡章生ら、兵庫県立中央農業技術センター研究報告38:(掲載予定)

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