[成果情報名]

マイクロサテライトDNAマーカーによる個体識別手法を用いた牛二卵性双子産子に起因するキメラ体の確認

[要約]発生分化の起源が異なる造血細胞由来DNAと毛根細胞由来DNAの2種類のDNAおよびマイクロサテライトDNAマーカーによる個体識別法を用いれば、牛二卵性双子産子のキメラの有無を確認できる。
[キーワード]育種、二卵性双子、キメラ、マイクロサテライトDNAマーカー、個体識別
[担当]島根畜試・繁殖技術科
[連絡先]0853-21-2631
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地
[分類]科学・普及

[背景・ねらい]
 牛では双子を妊娠した多くの場合、双子胎子の胎膜が接触することで起こる絨毛膜血管の吻合と血液交流が原因によるキメラ(フリーマーチン)を生じる。牛ニ卵性由来のキメラ体の確認は、従来、双子個体の血液型判定によっていたが、(社)畜産技術協会附属動物遺伝研究所で確立した23種類のマイクロサテライトDNA(MS-DNA)マーカーを用いた黒毛和種での個体識別手法(Miho I et.al.,1997)は、本キメラ体の確認に利用できるか否か検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 双子産子から発生分化由来の異なるDNAを抽出してMS-DNAマーカーを用いてMS-DNA型を判定したが、二卵性双子産子12組中11組(91.7%)で白血球から調製したDNAを試料とした個体識別結果は同一であり、一卵性双子産子と同様の結果である(表1)。
  2. 材料が得られた6組で毛根細胞、頭部皮下組織由来のDNA型は双子間で異なっており白血球由来DNAはキメラとなっている(表1)。
  3. キメラ個体のキメラは造血系細胞由来の組織にのみ認められる可能性が高く、双子産子のMS-DNA型による個体識別には造血系細胞由来DNAおよび毛根細胞由来DNAの発生分化の起源が異なる2つのDNAが必要である。
  4. MS-DNA型を判定することで一卵性あるいは二卵性、ならびに二卵性双子についてはキメラの有無を判定でき、さらに毛根細胞由来DNAで双子産子を確実に識別可能である(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 異性双子産子白血球由来DNAのMS-DNA型判定によりキメラ(フリーマーチン)の診断が可能である。
  2. 双子産子の個体識別には毛根細胞由来DNAが有効である。
  3. 異性双子の場合フリーマーチンの判定には雌個体の白血球由来DNAから牛雄特異的遺伝子(SRY)をPCRにより増幅し診断可能である。

[具体的データ]

表1

図1


[その他]
研究課題名DNA育種実用化試験
研究期間1997〜2007年度
研究担当者安田康明、佐々木恵美、山田彰司、長谷川清寿、安部茂樹
発表論文等

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