[成果情報名]

シバ、ススキ、オーチャードグラス各生草のルーメン内分解率とそしゃくの効果

[要約]シバ、ススキの生草のルーメン内分解率は、オーチャードグラス生草にくらべ低いが、シバのCP分解率は、ススキとくらべて、季節変化がなくCPのルーメンへの安定供給源である。ウシのそしゃくによりルーメン内分解率は向上し、特にススキで顕著である。
[キーワード]動物栄養、肉用牛、シバ、ススキ、オーチャードグラス、ルーメン内分解率、そしゃく
[担当]近中四農研・畜産草地部・栄養生理研究室
[連絡先]0854-82-1670
[区分]近畿中国四国農業・畜産草地、畜産草地
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 放牧野草の飼料価値を解明する一つとして、実際の生の採食草やそしゃく時の消化性を知ることが望ましい。そこで、在来野草であるシバ、ススキと牧草のオーチャードグラス(OG)を放牧地から採取し、ナイロンバック法によるル−メン内分解率を季節別に比較するとともに、採食時のそしゃくがルーメン内消化性向上に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 3草種とも、季節が進むにつれて、乾物含量が増加し、NDF含量は乾物あたりで低下するが、原物あたりで増加する。乾物、NDF含量はシバ、ススキがOGより高い。CP含量は、シバ、ススキがOGより低く、特に9月に差が大きい(表1)。
  2. ナイロンバック法による乾物、NDF、CPの各ルーメン内分解率は、シバ、ススキ各生草がOG生草より低い。CPのルーメン内分解率は、ススキ生草がルーメン内非分解性蛋白質の増加により、7月、9月に低下するのに対し、シバ生草は月別に違いがなく、ルーメンへの蛋白質の安定供給源として機能している(図1)。
  3. 食道フィステルから回収した食塊(生草−そしゃく区)、乾燥−粉砕および生草−切断の各処理試料(6月採取)のin vitro 乾物消化率を求めた結果、すべての草種で生草−そしゃく区が高く、ウシのそしゃくは、ルーメン微生物による消化性を向上させ、特にススキにおいて顕著である(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 生草およびそしゃく効果による分析であり、放牧地での各草種の栄養供給特性についての基礎知見である。
  2. 各草種(特にススキ)のルーメン内分解率に対するそしゃくの効果の季節変動は今後検討を要する。
  3. 飼料の前処理がin vitro 消化率に影響するので、飼料の栄養評価をする上での適切な前処理法の詳細な検討がさらに必要である。

[具体的データ]

表1

図1

図2


[その他]
研究課題名シバ型草地における繁殖牛の栄養バランスの解明と補給技術
予算区分畜産対応研究(自給飼料基盤)
研究期間1998〜2000年度
研究担当者小迫孝実、小倉振一郎、林 義朗、土肥宏志、西口靖彦、安藤 貞、早坂貴代史
発表論文等1)Ogura et al . (1999) Grassland Science 45(1):92-94.
2)Ogura et al . (2001) Asian-Aust. J. Anim. Sci. 14(1):41-47.
3)小倉(2001) 日草誌 47(2):196-203.

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